
ベイルート:国を麻痺させている深刻な燃料不足の緩和措置として、レバノンは21日、石油製品の為替レートの変更を決定し、これにより燃料価格は2倍になるとされる。
燃料補助金の一部削減に相当するこの価格上昇は、2年に及ぶ金融危機で通貨が90%以上下落し、貧困水準が急上昇する国にとって、さらなる困難を意味する。
この決定は、レバノンを混乱に陥れ、基本的サービスを麻痺させ、燃料を求める人々の間に日常的な混乱を引き起こしている燃料危機について、大統領および中央銀行総裁を始めとする高官らが話し合う緊急会議のなかで行われた。
燃料価格は引き上げられるものの、今回の決定では、中央銀行が燃料の輸入に融資する為替レートまで完全に引き上げられたわけではない。その差額は、現時点では引き続き国が埋めることになる。
声明によると、中央銀行は、このために9月末まで最大で2億2250万ドルの口座を開設する。この資金は、政府が2022年度予算で返済することになる。
この口座は、ガソリン、重油、調理用ガスの「緊急かつ例外的な補助金」をカバーするためのものであると中央銀行は述べている。
この燃料補助金が続行されるのは9月末までであると閣僚関係者は述べた。
ミシェル・アウン大統領は、補助金続行の費用を国庫で賄うことを承認した。
燃料危機は、今月、中央銀行が大幅な補助金付き為替レートで燃料輸入に融資することはもうできないと述べ、市場レートへの移行を発表したことで悪化した。
政府はこれに反対し、公式販売価格の変更を拒否して膠着状態に陥ったため、輸入業者は身動きがとれなくなり、国中で燃料の供給が底を突く事態となった。
21日の決定は妥協点であり、現在の公式販売価格は1ドル3900レバノンポンドから上昇の8000ポンドというレートを基盤としているが、これでも依然として、2万ポンドに近い非公式の並行市場価格に比べればはるかに低い。
レバノン国内では、ドライバーたちがわずかに残るガソリンを求めて列を作るために至るところで道路が渋滞し、闇市場の価格は急上昇し、ガソリンをめぐる争いで死者も発生している。
レバノンの多くの地域に電力を供給している重油も枯渇寸前であり、長期間の停電を引き起こしている。
価格上昇による影響を懸念して、政府は国民に対し、1ヵ月分の給与または年金と同額の緊急社会支援金給付を決定した。
政府が燃料輸入の為替レートを1ドル8000レバノンポンドに調整する一方で、中央銀行は、自行のサイラファ・プラットフォームで決定されたレートを使用しており、20日金曜の同レートは1万6500ポンドであった。
中央銀行のリアド・サラメ総裁はロイターに対し、この2つのレートの差額の損失は政府が負担することになると述べた。
専門家は、この補助金制度がシリアへの密輸を助長していると批判している。ビブロス銀行のチーフエコノミストであるナッシブ・ゴブリル氏は、レバノンで燃料が市場価格以下で販売されている限り、それは続くことになると述べた。「これでは問題解決にはならない」と彼は言う。
ロイター