
リナト・ガイヌリン、ズィアド・サバー
モスクワ/カイロ:公式データによると、サウジアラビアのインフレ率は、8月に20ヵ月ぶりの低水準を記録した後、9月に加速した。
サウジアラビア中央統計局(GaStat)によると、9月のインフレ率は0.6%で、8月の0.3%から上昇。
この上昇は、指数に占めるウェイトが2番目に大きい(19%)品目である、食品・飲料の価格上昇が加速したことが原因に挙げられる。
この品目の物価上昇率は、8月の1.9%から9月には2.4%に加速。これは、12.5%増の野菜と2.0%増の鶏肉のコスト上昇を反映したものであると、統計局はプレスリリースで述べている。
「住宅、水、電気、ガス、その他の燃料」は、指数に占めるウェイトが26%と最も高いグループとなり、年間の物価上昇率は、前月のマイナス3.5%からマイナス3%となり、デフレが緩和されたと言える。
一般指数で13%のウェイトを占める「運輸」グループの年間物価上昇率は、8月の6.5%から5.9%に減速した。
しかし、ガソリン価格が年間上昇率44.9%と非常に高い伸びを示していることから、このグループは依然として物価上昇の伸びに大きく関連していると考えられると統計局は指摘している。
また、「教育」については、2020年9月に同グループの物価指数が急落し、その後12ヵ月間のデフレ状態が続いていたが、今回年間0.5%の伸びを記録したことも注目されている。
統計局は、今年9月に中等教育の価格が年間4.4%上昇したことを、同グループの物価上昇の要因として挙げている。
前月比では、消費者物価指数(CPI)は8月の0.1%に比べて0.2%の上昇となった。
サウジアラビア中央銀行は、2021年第3四半期のインフレ率が第2四半期に比べて安定的に推移すると予測していた。
レギュラーガソリンとハイオクガソリンの現地での最高価格をそれぞれ1リットルあたり2.18SR(サウジリヤル)と2.33SRに固定するために発行された勅令は、今後の期間におけるインフレ率を安定させると、規制当局は8月に発行したインフレレポートで述べている。
経済調査会社のキャピタル・エコノミクス社は、インフレ率に関して年内は高い水準で安定する可能性が高いものの、2022-23年には1-1.5%の範囲で推移すると予想している。
キャピタル・エコノミクスのMENA地域エコノミストであるジェームズ・スワンストン氏は「王国の非石油部門の回復は比較的ゆっくりとしたものになると思われます」と述べ、これは今後の期間、インフレ圧力が低いままであることを意味するとしている。
さらに、原油価格の上昇は、原油生産量の増加とともに、石油輸出収入を押し上げ、財政赤字を抑制することが期待されている。これにより、インフレリスクの高まりがさらに抑えられる可能性がある。