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日銀、物価上昇率はしばらく低いままと見通し経済対策期限の再延長を示唆

日銀には大規模な金融刺激政策を維持する準備があることを黒田東彦総裁は強調した。(AFP)
日銀には大規模な金融刺激政策を維持する準備があることを黒田東彦総裁は強調した。(AFP)
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28 Oct 2021 11:10:07 GMT9
28 Oct 2021 11:10:07 GMT9

日銀は木曜日、大規模な金融緩和策は維持し、少なくとも向こう2年間の物価上昇率の見通しを目標の2%を大きく下回る値で想定していることを明らかにした。コロナウイルス対策の経済政策撤廃が他国中央銀行よりも遅れるだろう、という市場予想が裏付けられる形となった。

四半期ごとに更新される最新の報告において日銀は22年度の消費者物価上昇率見通しを0.6%から0.0%に下方修正した。携帯電話通信料の引き下げや物価指数の基準年変更がその要因だ。

また日銀は経済成長率の見通しも引き下げた。新型コロナウイルスの感染拡大によって消費が渋り、さらに供給の制約で生産量が落ち込んでいることが影響した。

日本と他国の経済政策のギャップが浮き彫りとなる見通しとなった。

オーストラリアでは変動の激しい食料・エネルギーを除いた物価上昇(コアインフレ)率が2015年以来最速ペースで上昇した。オーストラリア準備銀行は日銀の発表に先立って木曜日に、同国の対コロナ経済政策の目玉である国債の買い入れ見送りを公表した。これを受けて市場の早期利上げ観測が強まっている。

また深夜にはカナダ銀行が、債券買い入れを終了し早ければ来年4月にも利上げを実施する、と発表し市場を揺さぶった。

「他国は景気刺激策を徐々に撤廃する意向を示しているが、日銀は国際トレンドから外れまったく別世界に生きているかのようだ」とUBS証券のチーフエコノミストである足立正道氏は語った。

「物価上昇の見通しが低いため、少なくとも黒田総裁と副総裁2人が任期満了となる2023年まで日銀は現行のイールドカーブ・コントロール(長短金利操作)付き金融緩和策を維持するだろう」という。

市場で広く予想されていたとおり、木曜日までの2日間開かれた金融政策決定会合で日銀は政策金利目標を短期金利ではマイナス0.1%、10年物国債金利ではゼロ%程度に据え置くことを決定した。

日銀には大規模な金融刺激政策を維持する準備があることを黒田東彦総裁は強調した。また最近の円高については経済にとって「プラスであることは確実だ」と付け加えた。

円安は「輸出にとっては好材料であり海外における円基調の企業収益を押し上げるものだ。これは輸入費用高騰というマイナス材料を打ち消す以上の効果を持つ」と黒田総裁は記者会見で述べた。

物価上昇見通しは「好転の兆し」
海外の需要増によって輸出が増加し、軟調な消費の影響をいくらか打ち消したため日本経済はパンデミックの影響による昨年の停滞期から抜け出した。

だが供給の制約や半導体不足が生産業を直撃しており、輸出に依存する経済の先行きに不安がくすぶっている。
商品原価の上昇によって日本の9月の卸売物価上昇率はここ13年間で最大となっていた。だが一般家計への転嫁は国内需要が低調なため非常に遅く、消費者物価上昇率はゼロ周辺で停滞している。

このことから日本は、物価上昇圧力が高まり多くの中央銀行が大規模金融政策の撤廃に動く世界においてはぐれ者となっている。

ロイター通信が世界的に実施したアンケートによると、世界のエコノミストは25行の中央銀行のうち13行が来年末までに最低1回は金利引き上げを実施すると予想している。

成長に向けた外部からの逆風もあるなかで日銀は日本の景気回復に対して楽観的な見通しを示した。来年度の成長見通しを引き上げ、最近の輸出・生産減少傾向は「一時的なもの」と表現している。

「パンデミックの影響が徐々に薄らぐにつれて経済は回復するものとみている」と日銀は発表し、大企業セクターの堅調さが徐々に一般家庭にも広がると想定していることを付け加えた。

日銀は賃金上昇によって値上げが一般家庭に受け入れられる見込みが高まっていることを挙げて、物価上昇見通しは「好転の兆し」を見せているとしている。

「企業が価格設定基準の見直しに積極的になれば、その多くがコスト転嫁を開始して値上げを実施する可能性がある」と日銀報告は記している。

ロイター

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