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PIF 2021年はトップ10入りならずも、ルーシッド案件はVC投資の成功例

(Shutterstock)
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02 Jan 2022 03:01:04 GMT9
02 Jan 2022 03:01:04 GMT9

アラブニュース

リヤド:サウジアラビアの政府系ファンド、パブリック・インベストメント・ファンド(PIF)は、2021年の資金投下額では世界の政府系ファンドのトップ10に入らなかったが、米ルーシッドモーターズへの投資は、2021年の最も成功したベンチャーキャピタル(VC)投資の一つだと考えられていることが、新たな産業レポートにより明らかになった。

Global SWFは1月1日、世界の政府系ファンドのパフォーマンスに関する年次報告書の中で、PIFは「例年ほどVCに積極的でなかったが、7月にルーシッドモーターズが上場した際に、シーズン最高のゴールの一つを決めた」と述べている。

投資利益率(ROI)がほぼ40倍であったことから、「すべてのSOI(国有投資家)はPFIのルーシッドモーターズとの成功を再現することを目指すべきだ。(中略)たとえ90%のスタートアップ企業が失敗する運命にあるとしても」と、Global SWFは述べている。

2018年に新興企業である米ルーシッドモーターズが資金不足に陥った際に、PIFは13億ドルを投資して同社の株式の63%を取得した。報告書は、「3年経って、株式は時価410億ドルとなっている。この取引は、流動性と長期的な展望により、ベンチャーキャピタル投資における政府系ファンドの競争優位性を示している」と付け加えている。

政府系ファンドのトップ10

Global SWFによると、2030年までに運用資産額で世界最大級になる予定のPIFは、2020年に79億ドルを投資し、SOIのトップ10に入った。Global SWFは、民間市場の投資案件をベースにファンドを評価しているが、この民間市場の投資案件には、規模が大きく、長期的な性質を持つ公的取引を一部に含むものが対象となる。サウジアラビアの「NEOM」などのような国内開発への投資や、政府からファンドへの資産の移転は含まない。

Global SWFの報告書によると、PIFは2016年に612億ドル、2017年に314億ドルを投資し、2年連続で世界トップのファンドにランクインした。これは、2016年と2017年は、ソフトバンク・ビジョン・ファンド1やブラックストーン・インフラ・ファンドのような大規模なスキームに投資した年だったからだ。

PIFは世界の様々な市場に投資しており、世界におけるプレゼンスは高まっている。世界への投資は、収入源を多様化し、世界中の知見をサウジアラビアに呼び込むことに貢献している。

投資対象となった企業の一つがルーシッドモーターズだ。投資額は29億ドルで、2021年7月の新規株式公開(IPO)では世界の投資家を集め、電気自動車の業界では最有力企業の一つとなった。ルーシッドモーターズの企業価値は30億ドルから650億ドルに上昇した。

PIFはまた、モバイルネットワーク事業者のジオ・プラットフォームズやコングロマリットのリライアンスなど、インド企業に28億ドル投資している。

 

PIFは2022年第2四半期の目標を上回り、運用資産額は1兆8,000億サウジアラビア・リヤル(4,800億ドル)に達する見込みだと、ヤシール・アル・ルマイヤン総裁は2021年12月に述べている。

リヤドに拠点を置くPIFは、サウジアラビアの多様化戦略、特に「ビジョン2030」の目標達成に向けた重要な役割を担っていると考えられている。

世界の見通し

Global SWFの報告書によると、世界の政府系ファンドと公的年金基金の保有資産は、米株式市場と原油価格の上昇により、2021年に過去最高の31.9兆ドルに増加し、投資額はここ数年で最高となった。

国有投資に関するこの報告書によると、政府系ファンドの運用資産は前年比6%増加して10.5兆ドルとなり、公的年金基金の運用資産は9%増の21.4兆ドルに跳ね上がっている。

また、SOIが取引件数、取引額ともに過去6年で最も多くの資金を投入したことも分かった。約2,156億ドルが投じられ、そのほぼ半分が政府系ファンドによるものだった。

シンガポール政府投資公社(GIC)がリーグトップとなった。75%増の311億ドルを投じ、成約案件数は109に上った。そのうちの3分の1以上が不動産、特に物流への投資だ。

Global SWFのディエゴ・ロペス氏が報告書で述べたところによると、新興市場は全体的に遅れをとっており、今年の投資額は全体の23%にとどまった。これは過去6年間で最も低い数字の一つとなった。

ベンチャーキャピタル投資は、国有投資家による投資のほんの一部だが、今年は80%以上増加して182億ドルに達した。シンガポールのテマセクがその4分の1以上を占めている。

Global SWFによる年次報告書は、161の政府系ファンドと275の公的年金基金のデータを分析したものだ。

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