
トヨタ自動車の豊田章男社長は23日、愛知県豊田市の本社で行った2022年春闘の第1回労使協議で、「この1年の頑張りにしっかり報いたい。異例だが、賃金と賞与について会社と(労働)組合の間に認識の相違はない」と表明した。満額回答の可能性を初協議で示唆するのは極めて異例。賃金交渉は事実上終了した形だ。トヨタの方針は他の企業労使の交渉にも影響しそうだ。
豊田氏は賃上げに応じる方針をいち早く明確にすることで、労組側と賃金以外の課題について議論を深める狙いとみられる。
トヨタ自動車労働組合は、定期昇給を含む総額での賃上げとして、職種や職位別に1人当たり月1600~4900円を求めている。前年と条件をそろえれば同等水準の要求という。一時金要求は年間6.9カ月分(前年の要求と実績は6.0カ月分)。
トヨタ労組の西野勝義執行委員長は協議の席で「課題をどう解決していくのかを話し合いたいという思いが(認識の相違はないという)発言につながったと受け止める」と応じた。第2回以降の労使協議では賃金に関する議論は行わない見込みで、3月16日の回答日に向け自動車業界を取り巻く課題について話し合いを続ける。
第1回の協議では、仕入れ先の部品メーカーなどとの関係について主に議論した。
時事通信