
ダナ・アブデルアジズ
リヤド:ウクライナとロシアの紛争のせいで供給分配への潜在的不安が高まる中、OPECプラス(石油輸出国機構加盟国と同盟国)は水曜に月例会議を開催する。
ロシアを含むOPECプラスは、4月に1日あたり40万バレルの供給を追加する計画は変更しないとみられるが、明日の会合では方針を決定し、増産するか否かを決定する予定となっている。
市場の逼迫を示すように、OPECプラスは会合を3日後に控えた時点で、今年の石油市場の黒字見通しを1日あたり約20万バレル下方修正し、110万バレルとした。
これは、ロシアのエネルギー供給が途絶えることに対する懸念が高まり、石油やガスの価格が上昇しているからだ。
ロシアのウクライナ侵攻を受け、欧州の指標であるブレント原油価格は急騰し、2014年以来初めて1バレル105ドルを超えた。また、米国のウエスト・テキサス・インターミディエイトの原油も急騰し、12時52分(グリニッジ標準時)までに100ドルを超えた。
グローバル投資銀行であるゴールドマン・サックスの内部文書によると、アナリストは「原油価格がさらに急騰し、今夏までに1バレル125ドルに達する」と警告している。
見通しの不透明さと制裁のせいで、原油価格上昇への懸念が高まっており、ロシア侵攻による地政学的影響と相まって、すでに逼迫している世界のエネルギー市場に供給ショックが生じる恐れがある。
米国とその同盟諸国(英国とEU諸国を含む)は、ここ数日でロシアに厳しい制裁を課し、特定銀行のSWIFT(国際的な決済ネットワーク)へのアクセス遮断などでロシアのビジネス活動を阻害している。
こういった制裁措置により、世界有数の石油輸出国であるロシアの石油の買い手の支払いや船舶利用は困難となり、混乱が生じている。
原油価格が高騰すれば、産油国は利益を得るかもしれないが、結局はコスト上昇と経済活動鈍化へとつながっていくだろう。
その一方で、ロシアのプーチン大統領は、アブダビのムハンマド・ビン・ザーイド・アール・ナヒヤーン皇太子と電話会談をおこない、世界のエネルギー市場に関して引き続き協調姿勢をとることを約束した。