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サウジアラビアの改革は「素晴らしい貿易の可能性を拓くもの」と日本の高官が述べる

キャプション:大阪で開催されたG20サミットで金曜日世界の指導者と顔を合わせるサウジアラビアのムハンマド・ビン・サルマーン皇太子(SPA)
キャプション:大阪で開催されたG20サミットで金曜日世界の指導者と顔を合わせるサウジアラビアのムハンマド・ビン・サルマーン皇太子(SPA)
29 Jun 2019 02:06:03 GMT9

ラシード・ハサン

  • 日本の庄秀輝在リヤド貿易担当高官は、日・サウジ・ビジョン2030の目的は「より高度な戦略的パートナーシップ」の実現であると述べる
  • 日本はサウジアラビアから見て世界第2位の外貨収入源、世界第3位の貿易パートナーである

リヤド:日本とサウジアラビアの貿易関係が発展を続ける中、両国はサウジ・ビジョン2030によって創出される機会を活用することを目指している。両国関係の深さは、ムハンマド・ビン・サルマーン皇太子がサウジアラビアの代表団を率いて参加した大阪で開催されたG20サミットでも見て取れるものであった。

さらに来年には、サウジアラビアは中東の国として初めて、世界の首脳が集う場として最も注目を集めるG20の開催地となる。これを背景に、日本貿易振興機構(JETRO)と日・サウジ・ビジョン2030オフィスの両方でリヤド事務所長を務める庄秀輝氏は、両国間の貿易の展望について、そしていかに両国の協力関係をさらに深めていけるかについて、『Arab News』に対して語った。

同氏は、サウジアラビアから見て世界第2位の外貨収入源かつ世界第3位の貿易パートナーである日本は、同国の重要なパートナーの1つであると指摘する。

「サウジアラビアと日本の貿易総額はかなりのもので、両国はお互いを重要な貿易パートナーと捉えています」と同氏は言う。「この自由貿易の世界において、日本とサウジアラビアは貿易から大きな経済的恩恵を受けています。ビジョン2030に基づく改革の結果、サウジアラビアからの輸出品をより多様化できるのではないかと考えています」

ビジョン2030の目的は、サウジアラビアの経済を多様化し、石油からの収入への依存度を減らし、持続可能な成長を目指す戦略を通して雇用を創出することだ。両国はすでに日・サウジ・ビジョン2030の合意に達しており、それによりサウジアラビアにとって日本の貿易パートナーとしての重要性は増すと見られている。

「2017年3月の合意を受けて始動した日・サウジ・ビジョン2030イニシアチブの対象分野は多岐に渡ります。貿易や投資、金融、エネルギーや産業、中小企業、人材育成、スポーツや文化などです」と秀輝氏は言う。

このイニシアチブのもとでは、原油と化学製品に加えて、工業製品の貿易もさらに促進される見込みだ。サービス関連の貿易額の増加の可能性もある。

最も最近の日・サウジ・ビジョン2030ビジネスフォーラムは、6月17日に東京で、サウジアラビア総合投資庁(SAGIA)とJETROによって共同開催された。

「フォーラムには300人以上の実業家が参加し、14もの了解覚書が交わされました」と秀輝氏は言う。

同フォーラムでは、サウジアラビアのビジネス環境や投資の機会についての最新情報や、スタートアップ企業へのベンチャー投資や急速に成長している娯楽分野など、サウジアラビアの新たなビジネスチャンスに関する情報が共有された。

「フォーラム参加者に満足度調査のアンケートをしたところ、91.1%が同イベントで役立つ情報が得られたと回答しました」と秀輝氏は言う。

SAGIAは、外国からの投資を促進するための新法を導入した。秀輝氏は、外国の投資家によるタダウル証券取引所へのアクセスを規制している法律が緩和されることは、前向きな一歩だと言う。

最近立ち上げられたノム株式市場は、サウジアラビアのメインの市場と並行して取引が行われており、上場の要件が比較的少なく、企業が株式を公開する代替プラットフォームとして機能している。同氏はこの市場がとても重要だと言う。日・サウジ・ビジョン2030においては、タダウルと東京証券取引所の協力関係を継続させていくことが挙げられている。同氏は、近い将来、国境をこえて上場が行われることを期待しているとも述べた。

サウジアラビアでの付加価値税の導入は、同国の財政改革にもプラスに寄与していると秀輝氏は言うが、同時に新たな税の導入にはプラス面だけではなくマイナス面もあるとの見解を示した。この場合、例えば、民間からの投資にかかるコストが上昇するなどである。その他の最近の変化もプラスのものであると同氏は付け加える。

「破産に関する新法の導入によって、今後外国の投資家には法人の清算にあたって確実な選択肢が与えられることになり、サウジアラビアのビジネス環境の向上につながると考えています」と同氏は言う。「近日中に発効予定の調達関連の新法にも強い関心を寄せています」

秀輝氏は、政府が現地調達によりこだわるのは当然のことで、新法によってサウジアラビアの産業の発展と多様化がさらに進むだろうと言う。

秀輝氏は日本政府による調査結果を引用し、サウジアラビアでは日本企業によって設立された115もの法人が現在活動していると指摘する。同氏によれば、サウジアラビアへのこれまでの直接投資額を足し合わせると、日本は第4位になるとのことだ。

日・サウジ・ビジョン2030の始動以来、日本企業はサウジアラビアに対し、直接投資や資金協力を通して300億ドル以上を投資している。

秀輝氏によると、最新の貿易統計によれば、日本はサウジアラビアの輸出品の輸出先として第1位であり、年間貿易額は266.7億ドルとなっており、サウジアラビアへの輸入品の輸入元としては第6位であり、年間貿易額は54.7億ドルになっているとのことだ。

このように、サウジアラビアは日本に対して大きな貿易黒字を出しているのだ。主な輸出品としては原油や化学製品などが挙げられ、主な輸入品としては自動車、タイヤ、修理用部品などが挙げられる。

秀輝氏によると、JETROはグローバルなビジネスを促進するための政府機関であり、そのために中立な立場から日本の投資家に幅広いビジネス情報を伝えているとのことだ。

JETROの最重要の使命の1つは、サウジアラビアのビジネス環境に関して、正確で最新の情報を提供することだ。それには、投資のルールや規制、ビジネスを行う上での規制の枠組み、税と税制優遇、労働市場、そして消費者市場の傾向などが挙げられる。

「統計データの収集も、私たちの重要な使命の1つです。こうした調査をもとに、私たちはビジネスを促進する活動、例えばセミナー、ワークショップ、使節団の派遣、ビジネスマッチングイベント、個別相談セッションなどを企画しています」と秀輝氏は言う。

同氏は、サウジアラビアの競争力の鍵は、その地理的な位置と、天然資源で潤う経済だと指摘する。同氏はまた、現在進行中の国家改革によって生じるビジネス環境全体の変化や特に民間の労働力に生じる変化によるプラスの効果を歓迎している。

「私たちは、サウジアラビアの関連機関が大変努力して外国企業がサウジアラビアでビジネスを行う際のハードルを下げていることに、大変感謝しています」と同氏は言う。「女性も含むサウジアラビア人がより民間に進出していることは、現在進行中の改革によるプラスの効果です」

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