ドバイ:ファイザーは1日、ブースター(追加)接種向けオミクロン株特化ワクチンへの需要により、同社の新型コロナウイルスワクチンの通年売上高見通しを20億ドル引き上げ340億ドルとし、ワクチン接種の成長に対する一部の投資家の懸念を払拭した。
同社の株価は、主にワクチンの売上が予想を上回ったため、第3四半期の利益が予想を上回り、午前の取引で2.4%上昇し447.67ドルとなった。
好調な決算を受け、競合する新型コロナウイルスワクチンメーカーの株価も上昇した。ノババックスは11%上昇し、モデルナは約4%上昇した。
新型コロナウイルスワクチンの売上は、従来株ワクチンへの需要が低調だったため、パンデミック時の高水準から鈍化しており、今後数年間の需要に対する懸念が高まっている。
これに対し、ファイザーは、ドイツのパートナー企業であるBioNTechと共同で販売するワクチンの価格を、米国政府がワクチンの購入を中止し、民間市場に移行した後は、米国内で約4倍に引き上げる計画だ。
ファイザーのアルバート・ブーラ最高経営責任者は、電話会議に先立って用意した声明で「当面は新型コロナ関連の製品が数十億ドル規模の売り上げにつながる」と述べた。
一方、ファイザーは2025年から2030年にかけて、いくつかの主要な医薬品の特許が切れることも予想されている。同社は最近54億ドルでグローバル・ブラッド・セラピューティクスを買収し、116億ドルでバイオヘブンを買収するなど、パイプラインを強化するための取引を行っている。
「コミナティ」の躍進は持続不可能だと指摘する人もいるが、「新たなパイプラインと大幅なバランスシートの柔軟性を考えると、我々はまだタオルを投げてはいない」とBMOキャピタルマーケッツのアナリスト、エヴァン・サイガーマン氏は言う。
第3四半期の新型コロナワクチンの売上高は44億ドルと、予想されていた26億ドルを上回った。
一方、新型コロナ経口治療薬「パクスロビド」の売上高は75億1000万ドルで、市場予想の76億6000万ドルを下回った。
ファイザーの第3四半期の1株あたり利益は1.78ドルで、市場予想の1.39ドルを上回った。
また、同社は、呼吸器合胞体ウイルス(RSV)ワクチンの後期試験で、妊婦に接種すると、幼児の重症化予防で効果があることが確認されたと明らかにした。
ロイター