
ソフトバンクグループ(SBG)が7日発表した2022年4~12月期連結決算(国際会計基準)は、純損益が9125億円の赤字に転落した。前年同期は3926億円の黒字だった。世界的な株価低迷を背景に投資先の価値が下落し、新興企業に投資する主力の「ソフトバンク・ビジョン・ファンド(SVF)」の不振が続いた。
SVFの投資損失は5兆円超に上った。中国の顔認証技術ベンチャー「商湯科技(センスタイムグループ)」やインドネシアのIT大手「GoTo」などの株式評価損が響いた。SBGは昨年から続く投資環境の悪化を受けて、SVFの人員を3割削減。足元では財務規律を優先し、新規投資を大幅に抑制している。
後藤芳光専務は東京都内で開いた決算説明会で、手元資金は潤沢に確保していると強調。その上で「『守り』は盤石。『攻め』のタイミングを見極める」と述べ、投資の再開を慎重に探る考えを示した。
10~12月期の純損益は7834億円の赤字(前年同期は290億円の黒字)。7~9月期は、中国電子商取引最大手アリババ集団の一部株式を手放したことに伴う利益で3兆円超の黒字だったが、2四半期ぶりに赤字に陥った。
傘下の英半導体設計大手アームの上場については、当初計画した22年度中から遅れる見通し。ただ、アーム幹部のイアン・ソーントン氏は説明会で「23年中の上場に強い決意を持っている」と述べた。
時事通信