
ロンドン時事:英紙フィナンシャル・タイムズ(電子版)は12日、ソフトバンクグループ(SBG)が、中国電子商取引最大手アリババ集団の保有株式のほぼ全てを売却する方向だと報じた。中国向けの投資を抑える一方、持ち分の現金化に動いているという。
同紙が米証券取引委員会(SEC)への提出書類の分析結果を基に伝えたところでは、SBGは今年に入り、デリバティブ(金融派生商品)の一種である先渡し売買契約を通じ、約72億ドル(約9600億円)相当のアリババ株を売却した。昨年は過去最高の290億ドル相当を売却したとされる。
SBGはかつてアリババ株の34%を保有していたが、一連の取引により、持ち分は最終的に3.8%にまで減少する見通し。SBGには株式を買い戻す権利があるが、同社はこれまで株式を引き渡したまま取引を清算してきた。傘下の投資ファンドの運用成績が低迷する中、財務体質の強化を迫られていることが背景にある。
同紙によると、2020年秋以降の中国政府によるIT企業の取り締まりが響き、アリババの株価は7割下落した。6年ぶりの安値を付ける中での持ち分売却について、同紙は「史上最も成功したハイテク投資の一つは残念な結果となった」と指摘した。
時事通信