
リヤド: サウジアラビアをクリーン・エネルギーの地域ハブにすることを目指して、同国のパブリック・インベストメント・ファンド(PIF)は日本の電力会社JERA株式会社との間で、グリーン水素プロジェクトおよびその派生物を共同で開発するMOU(基本合意書)に調印した。
プレスリリースによると、この契約により、両者が国内および国際市場に対応するために、同類のプロジェクトの実現可能性調査に着手する道が開かれるという。
JERAは日本最大の電力会社であり、燃料上流・調達から発電に至るまで、サプライチェーン全体にわたり事業を展開している。
プレスリリースはさらに続けて、今回の契約で両者はアンモニアを含むグリーン水素誘導体の開発における資源と能力を共同で活用することに合意しており、これを通して、双方のシナジーが一層引き出されることが期待されるとしている。
それだけでなく、両者のビジネスチャンスがMOUにより拡大する。
PIFは、サウジアラビアが気候変動対策をリードすることを目指し、グリーンプロジェクトに投資してきた。
2021年10月、ムハンマド・ビン・サルマン皇太子殿下は、サウジアラビアが自国の持続可能性目標を支援するために1,800億ドル以上の投資を約束すると発表した。
東京電力と中部電力の燃料部門と火力部門を統合して誕生したJERAは、2021年10月にUAEに中東子会社を設立しており、すでに中東地域への進出を果たしている。
ドバイに置かれた「JERA Middle East and Africa Management Co. Ltd.」は、複合火力発電所、大規模再生可能エネルギー・プロジェクト、グリーン燃料生産プロジェクトの開発を目的として設立された。
同社は、湾岸協力会議加盟地域ですでにガス火力発電や海水淡水化プロジェクトを手がけており、今後は脱炭素プロジェクトの開発を拡大するため、中東での新たなパートナーシップを積極的に模索しているという。
また、水素とアンモニアのサプライチェーン確立・拡大に向けて、日本国内外のトップ企業とも協力していく。
一方、PIFは、分野を横断して投資を拡大しており、その対象には、グリーン水素、再生可能エネルギー、エネルギー効率、廃棄物管理などが挙げられる。
今回の動きはPIFの長期的な多角化戦略の一環であり、サウジアラビアのネットゼロ目標の実現を支援するプロジェクトを積極的に展開している。
JERAはPIFとの契約の前にも、19日にアブダビ国営石油会社とのクリーン水素・アンモニア分野での協力に関する戦略的協力協定を発表している。