

ドバイ:日本の建築家である山下貴成氏は、UAEで開催中の「気候未来ウィーク」の会場でアラブニュース・ジャパンに対し、緑と環境を取り入れた自身の事務所のプロジェクトは中東地域、具体的にはサウジアラビアとUAEで上手くいく可能性があると語った。
「気候未来ウィーク」はドバイの未来博物館で開催されている。山下代表とパートナーのカン・ヨンア氏は9月27日、「環境と共鳴する建築」と題したセミナーを行った。
2人は講演で、「森のこども園」などのプロジェクトをいくつか紹介し、中東地域で行える可能性のあるプロジェクトについて話した。
「ここの環境は全く異なります」と2人は説明した。「しかし、緑の環境を作ることは十分可能です」
また、日本で上手くいったプロジェクトであっても中東では上手くいかないかもしれないが、それこそが山下貴成建築設計事務所が克服しようとしていることだと語った。
「これらの課題を、様々な種類の技術、設計、素材、もっと言えば様々な種類の壁や屋根によって克服しようと努めています」
山下氏の事務所はサウジアラビアのアル・ウラーで行われた建築コンペティションに応募した。このコンペでは砂漠の真ん中のホテルの設計を求められた。
「サウジアラビアの砂漠の真ん中で行われたコンペに参加する機会をいただきました。周りはこんな感じの岩山です」と2人は語った。「プロジェクトをいくつか提出しましたが、あまり上手くいきませんでした」
プロジェクトは上手くいかなかったものの、山下氏とカン氏は中東、中でもその砂漠に非常に関心を持っている。
「アル・ウラーの多孔質岩をホテルの設計に取り入れたいと思いました。滞在する人は内装を通しても環境を感じることができるはずです」と、2人はアラブニュース・ジャパンに対し語った。「また、サンドアーティストに壁に絵を描いてもらうことで、壁の上に自然と大地のカラフルなイメージを作り出したいと思いました」
2人は、富士山の近くに建設された「河口湖とらのこ保育園」について、樹にインスパイアされた建物を街の真ん中に作りたかったと語った。
「街の真ん中に大きな樹があると想像してみてください。その周りに園児たちが集まるのです」と2人は説明した。「こういう感じのフワフワしたイメージの屋根を架けることで、皆が集まれるような影ができるようにしました」
同様のプロジェクトは中東でも上手くいくと思うかと質問したところ、それは良い考えだと2人は言い、周辺の施設に合わせた構造物の配置ができるからだと説明した。
「(中東に作る)保育園は、例えばショッピングモールやホテルやビジネス街と2種類の関係を持つことができるでしょう」
山下貴成建築設計事務所はUAEで、「フローティング・オアシス」と呼ばれる案もプレゼンした。ドバイ・クリーク・ハーバーの近くに島を作るという案だ。
「緑、街の灯、テクノロジーを取り入れたプロジェクトを海の真ん中に作りたいと思いました」
「気候未来ウィーク」は9月26日から30日まで開催される。これはUAEの「持続可能性の年」に沿ったものだ。同国は現在、11月のCOP28に向けて準備を進めている。