
ロサンゼルス:米映画界最高の栄誉とされる第96回アカデミー賞の授賞式が10日(日本時間11日)、ロサンゼルスで開かれ、宮崎駿監督(83)の「君たちはどう生きるか」が長編アニメ映画賞に輝いた。2003年に、日本の長編アニメ作品として初めてアカデミー賞を獲得した「千と千尋の神隠し」に続く、自身監督作で2度目の受賞となる偉業を達成した。
山崎貴監督(59)の「ゴジラ―1.0(マイナスワン)」も視覚効果賞に選ばれた。日本作品が同賞を受賞するのは初めて。役所広司さん(68)が主演した、ビム・ベンダース監督の「PERFECT DAYS」は国際長編映画賞の受賞を逃した。
「君たちは―」は宮崎監督の10年ぶりの新作長編。戦時中、火災で亡くなった母の死を受け入れられない少年が、奇妙な鳥に導かれて訪れる異世界での冒険を描いた。日本では昨年7月、北米では12月に公開され、北米での初週の週末興行成績が1位になるなど、海外でも高く評価されている。
受賞を受け、スタジオジブリ(東京都小金井市)で記者会見した鈴木敏夫プロデューサーは「宮崎に電話で受賞を知らせたところ、心の底から喜んでいた。80代を超えても宮崎の時代性は色あせていない。今回もそれをやってのけた」と話した。
「ゴジラ―1.0」は、「ALWAYS 三丁目の夕日」で知られる山崎監督がVFX(視覚効果)も担当。CG制作の本場で、並み居る大作をしのぐ快挙を成し遂げた。全米では昨年12月に公開され、累計興行収入が邦画実写映画として歴代1位を記録するなど、人気を集めていた。
山崎監督は受賞時のあいさつで「このステージに立てる可能性は手の届かないところにあると思っていた。ハリウッドは、皆にチャンスがあると証明した」と喜びを語った。
作品賞は、「原爆の父」と呼ばれた科学者ロバート・オッペンハイマーの伝記映画「オッペンハイマー」が受賞。同作は監督賞や主演男優賞など計7冠を獲得した。
時事通信