
レベッカ・アン・プロクター
ドバイ:サウジアラビアの古代遺跡が集まるアルウラが2020年後半に一般公開されるというニュースを聞き、旅行好きはいつかその地を訪れたいと思ったはずだ。誰もがヘグラや壮大なマラヤ・コンサートホールを訪れたり、またエレファントロックからの夕日を眺めてみたりしたいだろう。4月17日の「世界遺産の日」を前に、かつてアジア、アフリカ、ヨーロッパの商売や文化交流の中心点であった、20万年の歴史を持つ古代の土地を祝う価値はある。
2018年12月にArt Jameelプロジェクトが発足し、アルウラの地元住民らは周辺に残る岩面彫刻のデジタル記録を残すため、フォトグラメトリというデジタルマッピング技術を学んだ。アルウラ王立委員会(RCU)によるこのイニシアチブでは、Art Jameelの指揮、そしてFactum Foundation for Digital Technology in Conservationおよびロスチャイルド財団の協賛のもと、2週間以上にわたる集中トレーニングが行われた。
応用フォトグラメトリのトレーニングの第1フェーズはマドリードのFactum Foundationで行われ、アルウラ出身の男女15人が参加した。
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だが、コロナウイルスの影響を予測できる者はいなかった。アルウラの住民は、まさにぴったりのタイミングでトレーニングを受けたと言えるだろう。外出自粛など様々な制限のもとで生活する世界中の人々は、サウジアラビアの最も神秘的な地の魅力を楽しみ、学ぶことがもうすぐできるようになる。
アルウラ古代遺跡やロックアートの3D体験がたくさん詰まったデジタルライブラリが、今後数カ月のうちに一般公開される予定で、様々な環境で外出ができない人々を、アルウラの美しさの中へと現実逃避させてくれるだろう。
「フォトグラメトリにより、チームは遺跡の中にある銘刻のような小さなものや、巨大なモニュメントや建物の正確なデジタルコピーや3Dモデルを構築し、一般公開されていない史跡を作り上げることができました」とRCUのCultural Planning Directorを務めるアンネット・ギッボンズ-ウォレン氏は話す。
また、この技術を使い、人々はこれらの史跡をデジタルで体験することができる。「私たちのLiving Museumのウェブサイトでは、デジタルレンズと360度動画を使い、バーチャル体験の実現に向けて取り組んでいます」と彼女は加えた。
[caption id="attachment_13178" align="alignnone" width="500"]この技術により、メリットは倍増する。高解像度のデジタルドキュメントを通した保全と研究により、アルウラの遺跡を保護できるだけでなく、地元住民をトレーニングすることでアルウラの経済成長も促すことになる。
プロジェクト第1フェーズの参加者の1人であるジャウハラ・アルバラウィ氏は、「現場で経験を積みながら、アルウラにおけるフォトグラメトリの実施を拡大し、サウジアラビアの遺産保護に貢献したいと考えている人々の役に立ちたいです」と話す。
プロジェクトは、人材開発を優先とする一連のコミュニティプログラムを通し、地域に貢献するというRCUの努力を示すものだ。これまで、アルウラのコミュニティから3,500人がイニシアチブに関わり、900人分の雇用が創出されている。
[caption id="attachment_13179" align="alignnone" width="500"]アルウラには9,000か所を超えるロックアートや銘刻が残っている。これらの史跡をデジタルで記録する能力を構築することが、長期的なプロジェクトの成功のカギとなる。
考古学・文化遺産保護ディレクターのレベッカ・フート氏は、「RCUはアルウラの素晴らしい文化遺産を公開し、保護、共有しながら世界と共に祝っています」とし、「私たちが実施する考古学プログラムを通して世界中に遺産を見てもらうことで、アルウラの古代文化や報告にスポットライトを当て、何千年も続いた広大な文化交流の歴史との関わりの深さを伝えます」と語る。