
東京:現代の神経質な現実を舞台にしたホラー映画の巨匠として知られる日本の監督、黒沢清が、これまで手掛けたことのないジャンルであるサムライ映画に、彼の特徴的な緊張感あふれる物語展開を注入する。
「一度はやってみたいと思っていたし、実現する可能性も出てきたが、まだ不確定な部分も多い。ついに自分のサムライ映画を撮れるかもしれない」とAP通信に語った。詳細はまだ明かせないと付け加えた。
彼の次回作となるサムライ映画には、時代劇の定番である剣戟シーンやアクション満載の屋外シーンは登場しない。その代わりに、黒沢映画の特徴である不気味で静かな物語が、今回はたまたまサムライ時代を舞台にした城の中で、ほとんど閉所恐怖症のような状況の中で展開される。
そのコンセプトだけでも、映画ファンなら興味をそそられるだろう。
このホラー映画の巨匠は、今年ニューヨークで開催された「ジャパン・カット」映画祭で表彰されたばかりだ。同映画祭では、第二次世界大戦中の問題を抱えた夫婦を描いた『スパイの妻』で、2020年ヴェネツィア国際映画祭で銀獅子賞を受賞したことに続き、国際的な評価である「カット・アバブ賞」が贈られた。
『七人の侍』や『羅生門』の監督、黒澤明とは無関係の黒沢清監督は、時代劇はセット、小道具、衣装の費用が膨大で制作が難しいと語っている。
また、SF作品の監督には興味がなく、リアリズムを追求していると明言した。しかし、自身の作品はすべて「嘘」であることも率直に認めた。
「これは私の弱点か、特徴なのかもしれませんが、現代の現実社会を舞台に物語を語りつつ、エンターテインメント性を追求したいんです」と彼は語った。「そして、それが私が毎回目指している矛盾です」と。
「(現実的な枠組みの中で)恐ろしいキャラクターのような嘘を作るのです」と彼は語った。
40年のキャリアで毎年1本の映画を制作してきた黒沢は、映画の設定や背景をできるだけ現実的にするために、多くの読書を含む調査に多くの時間を費やしている。
最新作のサスペンス映画『クラウド』では、不運な男(演じるのは菅田将暉)が、オンラインで発見した品をはるかに高い価格で転売して怪い利益を得る。最初は無害な始まりだが、物語が複雑化するにつれ、主人公は復讐を誓う被害者たちから追われることになる。
黒沢は暴力描写をためらわない監督で、残酷で過激なシーンも美しく撮影され、時折その奇妙さがコメディの域に達することもある。
1997年の『Cure』は、残虐な連続殺人事件を捜査する刑事の物語で、役所広司が主演。カットなしの連続ショットを意図的に使用し、登場人物の多様な感情や冷酷さを浮き彫りにし、同じシーン内で内面が劇的に変化する狂気を描いている。
現実主義にこだわる黒沢だが、アルフレッド・ヒッチコックを影響の一つに挙げる彼は、完璧な繊細さと不気味な効果を生み出すために、小さな非現実的な要素を加えることを否定しない。しかし、彼の映画は決して明るいものではないと彼は述べた。
「現代日本の現実主義から出発すれば、すべてが幸せになることは不可能だ」と黒沢は語った。
映画製作は、通常、複数の関係者が協力し合う、巨大で複雑なプロジェクトであり、プロデューサーは興行収入を、俳優は自分の役柄を気にかけるが、最終的には自分の心の奥底で正しいと思うことを追求することだと黒沢は考えている。
「結局、多くのオピニオンがあることは理解しているが、正しいことを選択しなければなりません。何が正しいか?それを突き止めるのが、クリエイターとしての仕事です」と彼は語った。
AP