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短距離走者ヤスミーン・アル・ダバーグ、東京五輪デビューでサウジの歴史に名を連ねる

23日夜、ヤスミーン・アル・ダバーグ選手は東京2020オリンピック開会式でサウジアラビアの旗手を務めた。(提供写真)
23日夜、ヤスミーン・アル・ダバーグ選手は東京2020オリンピック開会式でサウジアラビアの旗手を務めた。(提供写真)
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26 Jul 2021 10:07:48 GMT9
26 Jul 2021 10:07:48 GMT9
  • ジッダ出身の23歳は、金曜日に100メートル走に出場する。
  • アル・ダバーグ選手は「最善の方法でサウジアラビアの代表を務められるよう、日常的に努力している」と語った。

アリ・カリード

東京:ほんの数週間前まで、サウジアラビアのヤスミーン・アル・ダバーグ選手は大きな夢を抱く無名の短距離走者だった。

東京2020オリンピック開会式で23日の夜、ボートのフセイン・アリレザ選手と並んでサウジアラビアの旗手を務めた彼女の顔は世界中に知れ渡った。

23歳のアル・ダバーグ選手にとっても、他の33人の屈強なサウジアラビア選手団にとっても、代表入りは最高の名誉だ。

「非常に喜ばしいです。非常にさまざまな競技の代表である多様で豪華なチームの一員であることは特に嬉しいです」と、アル・ダバーグ選手はアラブニュースに語った。「柔道、卓球、ボート、空手、アーチェリー、重量挙げ、水泳、射撃、サッカーといったあらゆるスポーツがあります。ムハンマド・ビン・サルマン皇太子のビジョン2030のおかげで、サウジアラビアのスポーツ界ではこれまでに類を見ない勢いの成長と投資が続いています。」

「サウジアラビアのアスリートとして、私たちはみな、国に大きな変化をもたらすスポーツの重要な役割を誇りに思います。スポーツの優れたエコシステムがあるおかげで、最高レベルの力を発揮することができます。早く競技場に行き、精いっぱいの力を尽くして恩返しがしたいです。」

アル・ダバーグ選手は、金曜日に新国立競技場で行われる女子100メートルでオリンピックデビューの予定だ。しかし、過去に物事が異なる方向に動いていたら、今は違う競技に携わっていたかもしれない。

「物心ついた頃から、私の心にはいつもスポーツがありました。」とアル・ダバーグ選手は語った。「ジッダ・ナレッジ・スクールの生徒だった頃、バスケットボールや水泳、バレーボール、体操とあらゆるスポーツに熱中していました。」

「陸上には、特に愛着がありました。走ることと、競技場に響く自分の足音を聞くことで特別な気持ちになりましたし、その気持ちがあったからこそ、競技に対する情熱を保つことができました。強い気持ちと、力強さと、みなぎる自信を感じていたのです。」

「これが自分に課された課題だ、という思いもありました。」と、アル・ダバーグ選手は語った。「個人競技として、自分が努力した分の結果が返ってくるのが嬉しいです。すべては私次第。隠れようがないのです。きちんとトレーニングをして努力をしたら、見合う成果を得られますし、それが本当に嬉しいのです。」

アル・ダバーグ選手は、トレーニングを開始した頃のことや、女性アスリートにとっては特に大変だったという競技施設の確保についての思い出を語ってくれた。この件についてはもう解決していると、アル・ダバーグ選手は誇らしげに語った。

「女性の競技を含め、サウジアラビアのすべての競技において大規模な投資が進んでいます。これまで以上にスポーツ人口が増え、サウジアラビアは発展を続けています。個人的には、スポーツ大臣のアブドゥル・アジズ・ビン・トゥルキ・アル・ファイサル王子や、サウジアラビアのオリンピック委員会、陸上競技連盟を含む、数多くの方々からいただいたサポートには本当に感謝しています。」

女性の競技参加が国内で一般的に広まり、文化的に認められるようになる数年前から、アル・ダバーグ選手は迷うことなく彼女を信じてくれた家族に恵まれていた。

「私の家族は今でも私の一番のサポーターで、夢を追うよう常に背中を押してくれました」と、アル・ダバーグ選手は語った。「私が疑念や恐怖を抱くたびに、家族のおかげで乗り越えることができました。家族のおかげで、オリンピック選手になるという夢はいつか実現するものだと常に信じることができました。自分の夢が実現することを誇りに思いますし、恐れ多くも感じます。」

彼女の進路を後押ししてくれたのは、まさに陸上の象徴ともいえる人物だった。

「私の人生のモットーは、決して諦めないことです」と、アル・ダバーグ選手は語った。「ありきたりな言葉に聞こえるかもしれませんが、この言葉のおかげで多くの困難や恐怖を乗り越えて、今の自分に辿り着けたのです。最も尊敬する人の1人で、今は私のコーチでもあるリンフォード・クリスティから、私はオリンピックに行く能力のある人物だと言われました。それ以来、今の自分に辿り着くまで一生懸命頑張ってきましたが、これはただの始まりに過ぎません。ことわざにもあるように、『千里の道も一歩から』です。オリンピックへの出場は、これからやってくる長い道のりの第一歩だと思っています。すべてはアッラーの思し召しです。」

アル・ダバーグ選手は特に、アメリカ人ランナーのアリソン・フェリックス選手に刺激を受けている。フェリックス選手は、金メダル26個、銀メダル8個、銅メダル4個という驚くべき記録を持つ人物だ。オリンピックでは金メダル6個と銀メダル3個を獲得し、陸上で女子最多の金メダルを持つ。フェリックス選手は東京2020オリンピックにも出場予定で、同じくアメリカ出身で伝説的な元短距離走者のカール・ルイス氏の金メダル保持数9個という世界的な記録を破る可能性がある。

「アリソン選手をとても尊敬しているのは、スポーツにおいて信じられないほど素晴らしい成功を収めていることに加え、妻であり、母であり、女性による女性のための商品を作ることに特化したブランドの設立者でもあるからです。」と、アル・ダバーグ選手は語った。「人生におけるさまざまな面をバランスよく管理している姿は、私にとっても世界中の多くの女性にとっても刺激を与えてくれます。」

「母国のアスリートたちのことも、もちろん尊敬しています」と、アル・ダバーグ選手は付け加えた。「陸上では、サラ・アッタール選手とカリマン・アブ・アル・ジャダイリ選手、乗馬のダルマ・マルハス選手、そして水泳のマリアム・ビンラデン選手です。」

アル・ダバーグ選手がオリンピック出場の連絡をもらったのは、大会開幕のたった3週間前だった。

「オリンピック出場は私にとってのすべてです。また、サウジアラビアの女子100メートルの記録を破り、『ユニバーサリティ出場枠』で出場するなんて…これ以上の幸せはありません」と、アル・ダバーグ選手は語った。

「サウジアラビア、アメリカ、イギリスでの何時間にも渡る厳しいトレーニングの積み重ねの結果です。12歳の誕生日はオリンピックをテーマに祝ってもらったのを覚えています。それほどまでに私はオリンピックに憧れていて、ついにその瞬間が訪れたと思うと、この上なく嬉しいです。」

金曜日の午前に新国立競技場でのレースに挑むアル・ダバーグ選手は、世界中の強豪ランナーと肩を並べることになるが、昨年の大会延期を経て、彼女の心は弾んでいる。

「対戦相手の選手と比べて、自分の経験が不足していることは分かっていますが、前向きに捉えています」、とアル・ダバーグ選手は語った。「大会に出場することで、たくさんの教訓が得られるのは間違いないですし、アスリートとしての将来を築けるものになるといいと思います。トレーニングや大会に100%の力を注ぎたいと思った頃、コロナウイルスが流行したので、競技場にいられる時間や大会に出場する機会の多くを失いました。でも、今回チャンスを掴んだことで、今はオリンピックやこれから先のことだけを考えています。」

「世界は厳しい18ヶ月を経験しましたが、スポーツが世界中のさまざまな立場の人々を結びつけると思うワクワクします。その瞬間を十分に楽しみたいですし、私のスポーツ人生も前進するでしょう。」

アル・ダバーグ選手は、今の時点で自身のキャリアに具体的なゴールを設けていないが、目指すものは常に変わらない。

「私の目標は、常に最高レベルの能力を出すことです」と、アル・ダバーグ選手は語った。「最善の方法でサウジアラビアの代表を務められるよう、日常的に努力しています。サウジアラビアのオリンピック選手がこれまで掲げてきた水準をさらに上げ、もっと多くのサウジアラビアの若者が夢を追いたいと思えるように、刺激を与えたいと思っています。私は、すでに国内の100メートル競技の最高記録を持っていますが、その記録を伸ばして、アスリートとしてさらに成長したいです。私の今までのキャリアと経験において、今回の大会は成長に欠かせない要素だと思っています。これは個人的にも言えることですし、サウジアラビアのスポーツの将来にとっても重要な大会です。」

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