



シャムス・エル・ムタワリ
ドバイを拠点とするシェフ、ソレマン・ハダド氏が、9月にオープンするマルチコースのおまかせレストラン『Moonrise(ムーンライズ)』」で再び腕を振るう。
ドバイ: このレストランは、ゲストの目の前で調理される、季節ごとにシェフが決めた9コースのメニューを提供することから、シェフズテーブルまたはおまかせコースと呼ばれている。
インド料理「パニプリ」や、北海道佐呂間(サロマ)から取り寄せたA5ランクの和牛など、ハダド氏の看板メニューを用意している。
炭火で焼かれた肉は、和牛の風味を十分に生かしたミディアムレアからレアで提供される。その上に、キャビア、ゆず油、ポン酢、そして、すだちなどの柑橘類と唐辛子を使った「ゆず胡椒」という薬味をのせている。
「私の料理は何かと聞かれても簡単には説明できないので、「日本の食材を使ってアラビア料理を作ったり、アラビアの食材を使って日本料理を作ったりしています」 と彼は語る。
日本のナスを炭火で焼き、日本から輸入した味噌と醤油をブレンドして作る中東のディップ料理「ムタバル」は、彼の料理スタイルを象徴している。
ハダド氏は、日本料理とアラブ料理の間にある多くの類似点に魅了されており、『Hamachi served with zaatar(ハマチのザーター和え)』のような料理を作り、その類似性を難なく表現している。
最近では、韓国と日本のシャワルマをフード・デリバリー・サービスのDeliverooで注文できるフードコンセプトを立ち上げ人気を博しており、彼の料理の多国籍性をさらに際立たせている。
ハダド氏は、日本の豊洲市場からUAEに持ち込んだ刺身をはじめ、新鮮な食材を使って料理を作っている。
また、フランス系シリア人のシェフは、自分で味噌を作り、他にも彼が「うま味の宝庫」と称する塩麹――米を水と塩で漬けた発酵食品――を作るのが得意で、ドレッシングや肉を柔らかくするのに使っている。
ハリド氏はアラブニュース・ジャパンの取材に対し、「日本の反響がとても大きいです。ただ、日本の食材や技術はふんだんに使われていますが、単に『日本の味』が提供されているわけではありません」と述べている。
日本料理への憧れは彼の青年期に始まった。ドバイの家族経営の日本料理店「弁当屋」や「富士屋」でよく食事をしていたことを思い出すという。その後、料理学校ル・コルドン・ブルーのパンコースを受講するために来日し、日本の多彩な食文化に触れたことで、日本料理への情熱は大きく膨らんでいき、これが彼の料理人生の転機となった。