
ナダル・サモーリ
大阪:一部の中東の人にとって、様々なアジア料理の違いはわかりにくいかもしれない。しかし味に変化を加えれば、現地の人の多くに受け入れられるものだ。
日本料理(和食)は寿司やラーメン以外にも多岐にわたり、豆腐や刺身、海藻、味噌、多種多様な漬物をはじめとするヘルシーな食材を使った料理が豊富にある。
アラビア料理やアラブの人気のごちそうは、日本の食文化の中にどう馴染むだろうか?
ラフィ ドリーム ケバブ は日本で最もおいしい小さなケバブ店のひとつで、神戸にある。東アジアでは違いが分かる人が少ないので、シャワルマ店と呼んでもいいかもしれない。
このお店はエジプト出身のラフィク・ムーサさんが運営している。ラフィクさんは日本人でも言いやすいように、ファーストネームからKを落として「ラフィ」とした。
「日本で自分のケバブ店を開くことを考え始めたとき、ケバブの味が日本でどう受け止められるかを常に考えていました。日本人の味覚に合わせなければならない。同時に、日本に住む中東その他の外国人のお客さんにも好きになってもらいたいと思いました」とムーサさんは語る。
しかし、日本人の味覚に関するムーサさんの経験や知識は、何もないところから突如得られたわけではない。
「日本料理店で3年間働き、徐々にお客さんの好みを理解しました」とムーサさんはアラブニュース・ジャパンに語った。さらに、
「中東の国でケバブやシャワルマに使われるスパイスは、自然の食材の抑えた味わいに慣れた日本人の繊細な胃には強いと考えられています。日本の各国料理の店の多くが本場の味を変えてしまうのはそのためです。料理を日本人のよりあっさりした味覚に合わせるのです」
また、中東では価格の安さと調理のしやすさで鶏むね肉が好まれるが、日本人には鶏もも肉が好まれるとムーサさんは語る。
「唐揚げや焼き鳥は鶏もも肉を使う、日本でも非常に人気の料理です」と店主のムーサさんは説明する。
営業する店の立地がムーサさんにとって極めて重要であることがわかった。以前は西日本のみやき町で店を構えていたが、神戸に移ると、大きな都市の人のほうが外国の料理に対してずっとオープンなことに気づいた。ムーサさんは新しいものにチャレンジするのが好きな客層を好んだため、それはムーサさんのビジネスに大きな違いをもたらした。
「色々なスパイスやソースで実験を始めて、自分で納得のいく味ができると、私の秘密のスパイスと呼ぶようになりました。商売で改善できるところはないかと、常にお客さんの意見を求めるようにしています。幸運なことに、お店に来てくれたお客さんのほぼ全員が料理を褒めてくれます」とムーサさんは言う。
他者との間に一線を引きたいと思う日本人が多いため、ムーサさんはお客さんのプライバシーを尊重するようにしている。また、お店にも一定の衛生基準が当然のこととして要求されるため、これに見合ったものを提供できるよう励んでいる。さらに、日本のコミュニケーションスタイルが大前提なので、時折お客さんとの間で冗談もかわす。
成功するためには環境や状況に適応することが必要で、常に実験し、観察し、改善していかなければならないことを、ムーサさんは学んだ。