
フランクフルト:ファイザー・ビオンテックのコロナウイルスワクチンの3回接種は、オミクロン株に効果がありそうであることが臨床試験によって示され、デンマークと英国が感染者数の急増を抑えるために新たな規制を発表した中でも、心強いニュースとなった。
8日に発表された中間結果では、世界で最も多く接種されている新型コロナワクチンの1つを開発した米国とドイツの両企業は、ブースター接種によって、初期に流行した株に対して2回目の接種後に見られたのと同じ程度の有効な抗体がオミクロン株に対しても作り出されたと発表した。
しかし、「オミクロン株は2回の接種では恐らく十分に中和されない」と、両社は警鐘を鳴らした。
この発表は、まだ査読を受けていないものの、専門家からは心強い内容だと受け止められた。そして、新たな変異株はこれまでのものよりも感染やワクチンによる免疫を回避しやすいと指摘する世界中の研究所の独立した初期データが出された中での発表となった。
「まだ十分慎重に行動し、様子を見て、対処法を検討する必要があるが、得られている情報は少なくとも心強いものだと思う」と、カナダのワクチン・感染症機構のウイルス学者、アンジェラ・ラスムーセン氏がAFP通信に語った。
現行のワクチンを2回接種した約20人の血液サンプルからは、初期のウイルス株と比べて中和抗体が平均で25倍減少していることが明らかになったと、両社は述べた。
しかし、免疫反応の別の部分のT細胞は、新たな変異株に対しても恐らく有効で、2回の接種を受けた人は「この病気の重症化を防げる可能性がある」と、両社は付け加えた。
ワクチンメーカーは、オミクロン株に特化したワクチンを開発中で、3月までに準備を整えたいとしているが、大量生産するかどうかの判断は、この変異株の拡大次第だと言う。
ヨーロッパでは、デンマークが感染者の急激な増加を抑えようとする中、同国のメッテ・フレデリクセン首相が、学校のクリスマス休暇を延長し、夜間営業を規制し、国民に在宅勤務を促すと発表した。
「計画では、長期閉鎖は行わない」と、首相は述べた一方、再び在宅勤務になることは、多くの人から歓迎されないことも認めた。
イギリスのボリス・ジョンソン首相も同様に、在宅勤務を促し、ナイトクラブやスタジアムなどの会場でのワクチン・パスポートの活用を義務付ける方針を再び発表した。新たな措置はイングランドに適用され、スコットランドとウェールズでは既に実施されていた。
「このウイルスを前にして、我々は控えめにならなければならない」と、首相は述べ、「イングランドでプランBに移行することは、相応しい、責任ある対応だ」と付け加えた。
ジョンソン首相は、昨年のロックダウン時に補佐官がダウニング街で行われた違法なクリスマスパーティーについてジョークを飛ばしている映像をめぐり、国民の怒りに直面する中で、この厳しい措置を発表した。
一方、WHOのテドロス・アダノム・ゲブレイェソス事務局長は、11月下旬に南アフリカでオミクロン株が初めて報告されて以来、科学者たちが学んだことを総括した。
この変異株はこれまでの免疫をうまく回避し、比較的軽い症状を引き起こす可能性があると、事務局長は述べた。
しかし、たとえ重症化しにくいことが確認されたとしても、この変異株は感染力を高めており、現在主流のデルタ株よりも感染力が高いと考えられている。つまり、より多くの人が病気になる可能性があるということだ。
ファイザーとビオンテックのニュースの発表は、同じワクチンの抗体がオミクロン株を中和する能力が、初期の株に比べて最大で40倍低下することが、別の南アフリカの小規模な研究の中間結果によって示唆された中でのことだ。
この研究を実施したアフリカ保健研究所常任理事のウィレム・ハネコム氏は、この結果は研究室の環境を反映したものに過ぎず、実世界のデータこそが本当の試験だとして、結果の解釈には「極めて慎重に」なることが重要だと述べた。
抗体の減少は、ドイツとスウェーデンの研究者による研究でも見られたが、その規模には違いが出た。
オミクロン株は、コロナウイルスの表面に点在し、細胞への侵入を可能にするスパイクタンパク質上に30以上の変異があり、高い確率で免疫を回避することが広く予想されていた。
しかし、ブースター接種で高い予防効果を取り戻せそうだという事実は、多くの専門家から歓迎され、「3回のワクチン接種を行う活動を強く支持することになる」と、インペリアル・カレッジ・ロンドンの免疫学者のチャールズ・バンガム氏は述べた。
オミクロン株に対する前向きな初期評価は、特に世界の市場では、景気がまた悪化するのではないかという不安が弱まったことから、安心感が広がることにつながったが、この変異株の登場は、パンデミックとの闘いが終了には程遠いことを浮き彫りにした。
新型コロナは、2019年末に初めて公表されて以降、公式には世界で520万人以上を死に至らしめているが、実際の死亡者数は数倍に上るとみられる。
AFP