
サイード・アル・バタティ
ムカッラー:15歳以下のイエメンサッカー代表チームがサウジアラビアをPK戦の末4-3(フルタイムでは1-1)で下し、2021年の西アジアジュニア選手権で初優勝したことを受けて、数千人のイエメン人が戦争で疲弊した国内の様々な都市の通りを駆け抜けた。
イエメンチームの優勝が発表された直後、イエメン人は国中の都市の路上で勝利を祝うために集まった。
フーシ派支配下のサヌアと政府支配下のアデン及びアル・ムカッラーのイエメン人は、まれに見る団結の瞬間に、国旗を振ったり、車のクラクションを鳴らしたり、実弾や花火を発射したり、「我々の魂と血で、イエメンを救済しよう」と唱和したりした。
今月13日の夜には、イエメンの各派閥が管理するすべてのチャンネルやメディアがライブ中継を行い、何千人ものファンが路上の巨大スクリーンに釘付けになった。
イエメン人の放送員によると、今回のイベントは10年以上にわたってイエメン人が一堂に会した唯一のイベントだという。
「今日のイエメン人は、勝利を祝うために互いの違いを忘れました。お互いを殺すためではなく、この達成を祝うために武器を発射したのです」とスポーツジャーナリストのサラー・アル・アマリ氏はアラブニュースに語った。
しかしサヌアなどで流れ弾が落ちて5人が死亡したとの報道もあり、人々の歓喜が損なわれた。
ニュースサイト「アデン・アル・ガッド」の編集者であるフェイトヒ・ビン・ラゼルク氏によると、イエメンとサウジアラビアの試合を見るために多くのイエメン人が会社を閉鎖したため、戦闘さえも一時停止したという。
「今晩、イエメンは東から西へ、北から南へと喜びの涙を流した。人々は廃墟と化した街や暗い路地を、空腹のまま、愛を表現するための喜びの涙で目をいっぱいにして歩き、勝利の感覚を味わった」と、ビン・ラゼルク氏は語った。
イエメン人は政治家に対して、自国のチームが成功したことによる歓喜を機に、戦争を終わらせるための活動を行うことを要求した。
「英雄たちが我々を喜ばせてくれたように、あなた方(政治家)は戦争を止め、和解に至ることで我々を喜ばせるべきだ。我々は皆、兄弟であり、我々は皆、イエメン人だ」と、イエメンスポーツ相ナイフ・アル・バクリのFacebookへの投稿に基づき、アイズ・アディン・モハメッド氏はコメントした。
またイエメンのビジネスマン、著名人、携帯電話会社、銀行、政府関係者などが、勝利したチームの選手や運営スタッフに数万ドルを寄付した。今月14日の午後までにSNSや地元チャンネルで行われた誓約に基づいて、イエメンの各選手は6万ドルを受け取ることになる。
イエメンのマイーン・アブドルマリク・サイード首相は、政府がチームに多額の現金報酬を割り当てたことを述べ、大会を主催したサウジアラビアに感謝の意を表した。
また欧米の外交官たちは、イエメン人の勝利を祝福し、同国の戦争終結への期待を表明した。
駐イエメンEU大使館は、「優れたパフォーマンスと高いチーム精神は、#イエメン人に希望を与え、国内および国外での祝賀会で人々を団結させた」とツイートした。
国連イエメン特使のハンス・グルンドベルグ氏は、戦争中の各派に即時停戦の受け入れを迫っているが、今回のまれに見る団結を歓迎した。またグルンドベルグ氏は「西アジアU15少年選手権2021で優勝した#イエメンのジュニアサッカーチームに温かい祝福を。国中の団結、喜び、お祝いの様子を見て心が温まりました」とTwitterでコメントしている。
しかし今月14日には、政府軍とフーシ派との間で戦闘があったとの報道もあり、祝賀会に影が落ちた。
地元当局やメディアによると、マアリブの南に位置するアル・バラック山脈付近で、フーシ派がマアリブを見下ろす戦略的な山を守る政府軍への攻撃を再開し、激しい戦闘が発生したという。
今週、政府軍は数十人のフーシ派を殺傷した後、アル・バラックの東部からフーシ派を追放した。