
AFPドバイ
水曜日にUNESCOで認定されたナツメヤシは、何世紀にもわたってアラブ世界の熱く乾燥した地域で、文明の構築と成長に重要な役割を果たしてきた。
ナツメヤシ関連の知識、伝統、慣行が、UNESCOの人類の無形文化遺産の一覧表に登録されることになった。
ナツメヤシの木は、根が土中深く入り込み、乾燥した気候の中でも成長し、食物源であるだけでなく経済的利益の源にもなってきた。
バーレーン、エジプト、イラク、ヨルダン、クウェート、モーリタニア、モロッコ、オマーン、パレスチナ管轄区、サウジアラビア、スーダン、チュニジア、アラブ首長国連邦ならびにイエメンの14ヵ国が提出した登録推薦書によると「ナツメヤシは、砂漠地方のオアシスにさまざまな密度で集まり、灌漑に適した水量があるかどうかどうかを示してくれる」という。
「その結果、人類が厳しい環境にも関わらず定住する助けになった」と記述している。
今日まで、アラブ世界では家庭でもビジネスでも大皿に載ったナツメヤシがテーブルを飾り、ナツメヤシの木のシンボルは歴史的に繁栄を表わしてきた。
この甘い果物は、一杯のコーヒーと相まって、古き良きアラブのおもてなしの印となっている。
国連の食糧農業機関によると、ナツメヤシは恐らく栽植された最も古い木である。
それは紀元前4000年もの昔から栽植され、古代のメソポタミア地方である南イラクのウル近郊の月神殿の建設にも使われた。
「推薦書提出国の人々は、文明の創成を助けたことから何世紀にもわたってナツメヤシの木と関わってきた」と推薦書で述べている。
「歴史的調査やさまざまな遺跡の発掘の結果、メソポタミア、古代エジプト、アラビア湾のような多数の地域で、この木が文化的経済的に高い地位を占めるに至った。」
この古代の農作物は、いくつかの現代的な課題にも直面している。湾岸諸国は、元々アジアからもたらされ、アラブ地域で1980年代に見つかったヤシオオオサゾウムシを撲滅するべく戦ってきた。
ほんの2~3cm(約1インチ)の長さの甲虫であるが、ヤシの幹を食い散らし、木を死滅させる幼虫を生む。
食糧農業機構によると「湾岸諸国と中東では、被害のひどい樹木を除去するだけで毎年800万ドルを失っている」という。
ナツメヤシのあらゆる部分は、いくつかの地方で今も昔も住居に使われたり、工芸品、マット、ロープ、家具を含む様々な製品を作るのに使われている。
ナツメヤシの伝統とヤシ製品を祝いまた広めるために、提出国の中には毎年フェスティバルを開催しているところもある。中でも注目すべきUAEのリワ・ヤシ・フェスティバル、サウジアラビアのアール・カシムで開かれるヤシ・フェスティバルである。
ジュネーブに本拠を置く国際貿易センターによると、両湾岸国はヤシの輸出国の上位に入っている。