
ディーマ・A・クデイル
ジェッダ:メリーハン・アルバズ(Merryhan Al-Baz)は13歳の頃から車を分解し、乗り物の世界への好奇心を満たしてきた。
現在30歳の彼女は父親から受け継いだモーターとエンジンへの情熱に導かれて、先月のディルイーヤE-Prix2022にリカバリーマーシャルとして携わり、レース競技における世界初の女性クレーンドライバーとなった。
父は整備が大好きです。古い車を持っていて、動くように修理しようとするのですが、そんな父のそばに座って父のやり方を見ていたのは私だけでした。
メリーハン・アルバズ
「今まで誰もこの分野に女性が参加できるとは思っていませんでした。メカニックの世界の仕事につくのは男性ばかりですから。幸運なことに、私の家庭では母と父はあらゆる才能やアイデア、そして私のやりたいことを常にサポートしてくれます」と彼女はアラブニュースに語った。
また「父は整備が大好きです。古い車を持っていて、動くように修理しようとするのですが、そんな父のそばに座って父のやり方を見ていたのは私だけでした」と述べた。
こういった充実した時間を過ごしながら成長することで、彼女は経験を積み、自動車整備に関する知識を深めていった。
自動車展示会やレースがあれば、彼女は必ず足を運んだ。
「ずっと車が大好きで、レースやドリフトの経験もあります」と彼女は言う。
2018年6月に女性の運転が解禁された後、運転教官やレースドライバー、整備士になるといった自動車にかかわる多くのチャンスがサウジアラビアの女性たちに開かれたと、アルバズは述べた。
「そのおかげで整備士になる夢が叶いました」と彼女は言う。「道を歩けば私のことを知っている人がいて、挨拶をして励ましてくれ、さらに私を手本にしてくれるなんて、本当に素晴らしい気分です」
E-Prixのマーシャルにはファイヤー、リカバリー、フラッグ、トラックサイドの4種があるとアルバズは説明してくれた。現場で能力を見定められ、彼女はリカバリーマーシャルチームに配属された。
リカバリーマーシャルは事故が起きたらレースを続行できるようにすぐにサーキットの片付けを行わなくてはならない。
「リカバリーマーシャルの仕事は女性には難しいとされています。私はサーキットで事故が発生した際にできるだけ早く車両を拾い上げる役割を担うクレーンドライバーでした」と彼女は語った。
レースの流れに直接影響するため、一刻を争う仕事だとアルバズは言う。
「事故が起きたら、リカバリーマーシャルはできるだけ早く現場に行かなければなりません。事故が起きるとレースが滞ってしまうので、迅速に対応しなくてはいけないのです。車両がコースをふさいでいる時間の分だけ他のレーサーから時間を奪うことになります」と彼女は説明する。
アルバズは独学で整備士としての腕を磨いてきており、彼女の学歴はキャリアとはまったく無関係なものだ。
「実はレバノンで心理学とメディアについて学んでいたのですが、クルマの世界に自分の道を見いだしています」と彼女は言う。
アルバズはより正式な形でキャリアを追求することを目指し、認定証を取得するためにジェッダの協会に登録した。独学者として評価を得たおかげでインストラクターの肩書きも得ることができた。そして、近い将来に自分の自動車整備工場を開きたいと考えている。