
東京:昨年の東京五輪で世界中から選手を受け入れた日本の自治体は、選手の母国との交流をオリンピックのレガシーにしようと取り組んでいる。
東京オリンピック・パラリンピックでは、多くの地方自治体が日本国外の特定の国々と提携し、合宿や地元住民との交流を行うために、選手を受け入れた。
東日本の群馬県太田市は、オリンピックの事前合宿で、オーストラリアの女子ソフトボール代表チームを受け入れた。市は、大会を通じて形成されたチームとの関係をさらに発展させたいと考えた。
市がオーストラリア側に選手の派遣を依頼すると、元五輪候補選手のステファニー・トリジンスキー氏(26歳)が来日し、今年4月から市立太田高校でALTとして勤務し、同校のソフトボール部のコーチを務めることになった。
同校は、日本の高校女子ソフトボール部の強豪校の1つとして知られている。ピッチャーとしてプレーするトリジンスキー氏の投げるボールは、全力投球すれば、チームの誰も打てないと、クラブの監督は述べた。監督によると、彼女の指導のおかげで、生徒たちには既に上達の兆しが見られるという。
来年春にはアフリカ南東部の国、マラウイから教師2人が太田市に来る予定だ。市は、東京大会のホストタウンとして、同国からの選手も受け入れていた。
市教育委員会の担当者は「選手たちの生徒への指導も、他の教師との交流も楽しみだ」と述べ、新たな教師の来日への期待を口にした。
隣の栃木県那須塩原市は、東京オリンピックのトライアスロン競技のオーストリア代表選手を受け入れた。
当時、選手たちは地元住民らと直接関わることはできなかったが、市の小学校とオーストリアの学校の児童たちは、東京大会終了後に、オンラインセッションでお互いに文化を紹介し合った。
那須塩原市は現在、地元住民がオーストリアとの交流に関わるプロジェクトも計画している。「このような関係はレガシーだと思う」と、市の担当者は述べた。
両市とは対照的に、奥出雲町の担当者は、西日本の島根県に位置する同市が昨年3月にオリンピックの事前合宿でインドのホッケーチームを受け入れる計画を断念して以降、インドとの関係づくりに苦心していると述べた。
東北の山形市も、タイなどの国々から合宿で選手団を受け入れる計画を中止した。
山形市は、中国杭州で開催される2022年アジア大会の事前合宿で、タイの柔道チームを迎える計画だったが、パンデミックにより大会が9月から延期されたため、計画は白紙になった。
山形市の担当者は「ようやく計画通り(タイ側と)交流できると思っていたのに」と、山形市の担当者は述べた。
ロシアのウクライナ侵攻も、東京大会に合わせてロシア人選手を受け入れていたホストタウンが交流プログラムを推進する取り組みを複雑にしている。
南西部に位置する福岡県の宗像市は、ロシアの女子7人制ラグビーチームを受け入れていた。
宗像市は、東京大会後にオンラインでのラグビークラスやその他のイベントの開催を準備していたが、これらの計画は、ロシアのウクライナに対する軍事侵攻を受けて頓挫した。
「今は、税金を使ってロシア側と交流すべき段階ではない」と、宗像市の担当者は述べた。
時事通信