
ワシントン:2022年10月31日月曜、国際的な天文学者チームが、大きな小惑星を発見した。この小惑星の軌道は地球の軌道と交差しており、わずかながら、遠い将来、壊滅的な衝突が起きる可能性があるという。
2022 AP7と名付けられた、直径1.5km(0.9マイル)のこの小惑星は、太陽の光で天体を発見することが難しいと言われる領域で発見された。
2022 AP7は、チリにあるビクトルM.ブランコ望遠鏡に搭載された、もともと暗黒物質の研究のために開発されたハイテク装置を使用し、他2つの地球近傍天体とともに発見された。
「2022 AP7の軌道は地球の軌道と交差しているため、潜在的に危険な小惑星だと言える。しかし、今すぐに、あるいは、近い将来、地球と衝突するといった軌道ではない」と論文の筆頭著者である米カーネギー研究所の天文学者スコット・シェパード氏は述べた。
軌道周回する天体の軌道は、特に他の惑星などの様々な重力の影響で徐々にずれていく。そのため長期的な予測は難しい。
複数の観測所を運用する研究グループ、NSF国立光赤外線天文学研究所(NOIRLab)は、新たに発見された小惑星は「地球に危害を及ぼす恐れがある天体としては、過去8年で最も大きい」と述べた。
2022 AP7は、現在の軌道で、太陽の周りを5年かけて回るが、地球に最も近い地点でも数百万キロの距離を保っている。
そのため、危険性は非常に小さいが、万が一衝突した時には、この規模の小惑星は「周知のように、生命に壊滅的な影響を及ぼすだろう」とシェパード氏は言い、大気中に舞い上がった粉じんが原因で地球が冷却され「過去数百万年で最大規模の大量絶滅」が発生する恐れがあると説明した。
シェパード氏率いるチームの研究結果は、科学雑誌「アストロノミカル・ジャーナル」に掲載された。他の2つの小惑星は地球に危害を及ぼす恐れはないが、うち1つはこれまで発見された小惑星の中で最も太陽に近いという。
地球の近傍で、直径1km以上の850個を含む、大小3万個の小惑星が登録されており、それらは「地球近傍小惑星(NEO)」と呼ばれる。しかし、これらの小惑星が今後少なくとも100年間、地球に衝突する恐れはない。
シェパード氏によると「おそらくまだ発見されていない大きな地球近傍小惑星が20〜50個ある」と考えられるが、そのほとんどは太陽の光に隠れる軌道をとっているという。
将来、より地球に脅威となる天体が発見された場合に備え、NASAは2022年9月末、探査機を小惑星に衝突させる実験を実施し、軌道をそらすことが可能であることを証明した。
AFP