
アラブニュース
リヤド:松田全史氏は、中東での完璧な記録を守りながら、サウジカップへの挑戦に向けて牡馬のクラウンプライドを仕上げている。
日本の競馬ファンの多くは、2011年のドバイワールドカップで、日本のヴィクトワールピサがUAEの頂点を極めるレースで初勝利を挙げたことを今でも覚えている。
このレースは東日本大震災で日本が大きな被害を受けた2週間後に行われ、ドバイで悲惨なニュースを聞いた日本人の厩舎スタッフは、肩に日本国旗と「HOPE(希望)」の文字が印刷されたポロシャツを作って、同胞との団結を示した。
そんなワークライダーたちの中に、11年後に新谷功一氏の調教助手としてドバイに戻ってきた松田氏がいた。彼のコルトであるクラウンプライドはUAEダービーで、最後の直線で先に抜け出した馬を差し切ってゴールし、日本人調教馬として2頭目の優勝馬となった。
これで松田氏はドバイで2戦2勝となり、初のサウジアラビア訪問でも同じ成績を収めるチャンスがある。
クラウンプライドはUAEダービー以来無冠が続いているが、日本の中距離ダートレースではトップレベルの安定した成績を残しており、直近では中京のチャンピオンズカップ(G1)で首差の2着となっている。
新谷氏はスポーツブールヴァードが開催するリヤドダートスプリントに出走するリメイクという賢い馬も調教している。
偶然にも、クラウンプライド以外にUAEダービーで優勝した日本人調教馬は、リメイクのサイアー(種馬)であるラニだけであり、ラニは2016年に優勝している。
松田氏は、自分の馬が海外で抜群のパフォーマンスを発揮する理由について、「いろいろな国の騎手や馬の関係者とコミュニケーションをとるのが好きなのです」と述べている。
「私は自分の馬のことはよく知っていますが、トラックのコンディションや性質については、現地の騎手や世界中を飛び回っている騎手のほうがよく知っています。その人たちと話をしてアドバイスを受けることで、自分の騎手としてのスキルとの相乗効果を狙うのが好きなのです」
松田氏は調教の際にも騎乗して、その馬の可能性を見極めている。
「クラウンプライドはスピードがあり、ストライドも大きいので、キングアブドゥルアジーズ競馬場でダートを上手に走るのに欠かせません」と彼は述べている。「リメイクは日本でカペラステークス(G3)を見事な勝ちっぷりで優勝しました」
「この馬はすでにトップクラスのスプリンターですが、ピークはまだ来ていません。走り方をトラックのスタイルに合わせて調整しているところです」
松田氏は、日本にいる10歳の息子の応援を受けながら世界中を飛び回っている。松田氏は25日にこの連勝をさらに伸ばすことができると、静かに確信しているようだ。