
大阪府・市は5日、副首都推進本部の会合を府庁で開き、カジノを含む統合型リゾート(IR)整備に向けた「実施協定案」をまとめた。4月の計画認定時には2029年秋~冬ごろとしていた開業時期が、30年秋ごろにずれ込むと明記。初期投資額も1兆800億円から1兆2700億円に増加する。国の認可を得た上で、月内にも事業者との協定締結を目指す。
IRを巡っては、大阪府・市が22年4月に整備計画を国に申請。当初、半年後と見込まれた認定時期が今年4月に遅れたことにより、開業時期も先延ばしとなった。また、建設資材高騰の影響で投資額が約17%増加した。
今回の案では、事業者側の協定「解除権」が盛り込まれた。具体的には(1)大阪湾の人工島「夢洲」の土地を所有する大阪市が適切な措置を講じず、地盤沈下や土壌汚染などで事業に著しい悪影響が出る場合(2)開業までの総費用が1兆2700億円を超える場合―などを想定。26年9月末まで解除が可能としている。
吉村洋文知事は、開業延期について「さまざまな手続きの中で1年延びた。適切な時期だ」と記者団に説明。解除権に関しては「(1兆2700億円は)民間からするとかなり大きな投資。リスクを管理するのは当然だ」と語った。
IRは米MGMリゾーツ・インターナショナルとオリックスが中核の「大阪IR株式会社」が整備と運営を担う。追加の資金調達は中核2社の出資によって賄う予定。実施協定と併せ、市は事業用定期借地権設定の契約を事業者との間で行う。
時事通信