
東京:東京都心部の貴重な緑地において数千本とも言われる樹木を伐採し歴史ある野球場を解体する計画について、運動家らは25日、見直しを求める新たな要望書を約22万5000人分の署名を添えて提出した。
約100年前に明治天皇を讃えて寄付された木々が生い茂る明治神宮外苑は、世界最大級の都市部に憩いの場と日蔭(日本は今年、観測史上最も暑い夏を経験した)を提供している。
この公園地区の中には、1934年に米国のスター野球選手ベーブ・ルースがプレーし観客を沸かせた明治神宮野球場もある。日本の著名な作家である村上春樹氏は、この球場にいた時に自分が作家になる啓示を受けたと語っている。
明治神宮外苑には、日本ラグビーの聖地と呼ばれるスタジアムもある。
しかし、今月開始予定の再開発計画により、これらのスポーツ施設は解体後に建て替えられ、さらに新たな高層ビルがいくつか建設され東京の高層ビル群に加わることになっている。
25日に政府に提出された要望書によると、1000本の樹木が伐採される予定で、新球場は見事な黄葉で多くの人々を集めるイチョウ並木からわずか6メートル(20フィート)のところに建設されるという。
今回のものを含むいくつかの要望書を取りまとめ、このプロジェクトに対する訴訟にも関わっている経営コンサルタントのロッシェル・カップ氏は、「これらは全て非常に美しい木々です」と言う。
カップ氏はAFPに対し次のように語る。「オンライン署名の数は増え続けています。計画の詳細について知る国民が増えるにつれ、狭い空間にできるだけ多くの超高層ビルを詰め込むことで人々に愛される景観を永遠に変えてしまうこの計画に不満を抱く人々が増えているからです」
ユネスコの諮問機関である国際記念物遺跡会議(イコモス)は9月7日に発令した「ヘリテージ・アラート」の中で、伐採の危機にある樹木は約3000本だと述べた。
また、再開発により「100年にわたり育まれてきた森は完膚無きまでに破壊される」と警鐘を鳴らした。
「都心の公園緑地は、人々の憩いの場であり、生物多様性の宝庫である。ヒートアイランド現象を緩和し、大地震発生時には避難場所となる」
東京都のウェブサイトによると、開発業者は昨年1月の時点で892本の樹木の伐採を計画していた。
しかし開発業者と東京都は、再開発が終わると樹木の本数と緑地面積はむしろ増えるとしている。
「世界都市文化フォーラム」がまとめたデータによると、東京は公園や庭園などの公共緑地の割合が最も低い都市の一つであり、2015年時点でわずか7.4%である。
一方、ニューヨークは27.0%(2010年)、ソウルは27.9%(2019年)、ロンドンは33.0%(2022年)となっている。
AFP