
エルサレム: 日本政府関係者によると、パレスチナ自治区ガザからの退避を希望していた日本国籍の10人とその家族のパレスチナ人8人の計18人が1日、ガザ南部のラファ検問所を通り、エジプトに入った。ガザを実効支配するイスラム組織ハマスの掃討に向けてイスラエルは空爆や地上作戦を強化しており、ガザでは生命に危険が及ぶ状況にあった。
日本外務省によると、日本人10人には国際機関の関係者が含まれている。また、国際医療支援NGO「国境なき医師団」日本事務局によれば、残っていた3人全員がエジプトに出た。松野博一官房長官は2日の記者会見で「退避した邦人の健康に特段の問題は生じていないことを確認している」と指摘。その上で、現地に生活拠点がある邦人1人が退避を望まず、とどまっていることを明らかにした。
ラファ検問所は1日、エジプトに退避する外国人や治療を受けるパレスチナ人のために開放され、中東の衛星テレビ局アルジャジーラによれば、外国籍を持つ340人以上がエジプトに入国。2日も外国人退避が進められるという。
一方、イスラエル軍報道官は1日、「地上作戦は計画通りに進んでいる」と述べ、「ガザ北部のハマスの防衛線を突破した」と強調した。ハマスの対戦車部隊の司令官を殺害したことも発表。「ハマスの将来的な戦闘能力に打撃を与える」と戦果を誇示し、「激しい空爆は続く」と語った。
イスラエル側では地上作戦開始以降、ガザでの作戦などで兵士16人が死亡。ガラント国防相は1日、「大きな代償を払っている」との認識を示した。これまでに双方の死者は1万人を超えた。
こうした中、多数の死者が出たガザ北部ジャバリヤの難民キャンプへのイスラエル軍の空爆を巡り、国連人権高等弁務官事務所(OHCHR)は1日、「戦争犯罪に該当し得る過剰な攻撃だ」との声明を出し、「深刻な懸念」を表明した。ハマスの最高指導者ハニヤ氏は「非武装の民間人に対する残忍な虐殺」を行っているとイスラエルを非難した。
時事通信