
東京:元外務省職員でアナリストの佐藤優氏は、週刊ポストで、イスラエルがヒズボラとハマスの攻撃で制圧された場合、同地域の紛争で核兵器を使用するという「最悪のシナリオ」があり得ると警告した。イランの支援を受けるヒズボラは、ハマスの少なくとも10倍の強さを持つとしている。
北部国境の防衛のためにイスラエルは国防軍の60~70パーセントを北に派遣する必要があり、このためにガザが手薄になる可能性がある。 イスラエルは、地中海の船舶によるヒズボラ陣地への砲撃などの軍事行動の可能性を含め、米国から支援を受けることになるが、北部国境を守るには自国の地上軍に頼らざるを得ず、国境を越えてレバノンに入る可能性は低い。 佐藤氏は、イスラエルの防衛線が崩壊すれば、核の使用による巻き添え被害がイスラエルや国民に直接影響を与えないために、核兵器使用の可能性がさらに高まると述べた。同氏は、風は西から東に吹いているため、レバノンで使用された核兵器の放射性降下物はイスラエルにほとんど影響を与えないと指摘する。 ひとたび核兵器が使用されれば、世界秩序は変わるだろうと佐藤氏は言う。核兵器使用のハードルは非常に低くなる。核保有国であるインドとパキスタンが衝突を続けるカシミール地域などでもリスクは高まるだろう。 記事によると、アラブ諸国が核兵器なしでは自国を守れないと考えた場合、競ってパキスタンから核兵器を購入することが予想される。中東で十数か国が核兵器を保有した場合、偶発的な核戦争が起こる危険性は非常に高い。 イスラエルの諜報活動も疑問視されている。佐藤氏は、モサドやその他の諜報機関から、イスラエルがハマスの攻撃について事前に情報を持っていなかったことが確認された情報を受け取ったと述べた。 インテリジェンス情報の分析は原則として常に最悪の事態を想定しなければならない。佐藤氏は、イスラエルの失敗が世界を核の危機に近づけたと結論づけている。