
政府は10日、新型コロナウイルス感染症対策本部(本部長・安倍晋三首相)の会合を首相官邸で開き、緊急対応策の第2弾を取りまとめた。中小・零細企業向けの特別貸付制度の創設など総額1兆6000億円規模の金融措置を明記。学校休校に伴う新たな助成金など今年度の予備費を含む4300億円超の財政措置も盛り込んだ。
首相は会合で「(感染)流行の早期収束を目指すとともに、雇用の維持と事業の継続を当面最優先に全力を挙げて取り組まなければならない」と強調した。予備費2700億円の活用は持ち回り閣議で決めた。
特別貸付制度は5000億円規模。フリーランスや個人事業主には実質無利子で融資し、中小企業の売上高が急減した場合も同じ扱いとする。雇用調整助成金の特例の対象を全事業主に拡大。観光業では、感染収束までの期間を反転攻勢に向けた「助走期間」と位置付け、キャッシュレス化や多言語化、バリアフリー化を支援する。
小中高校の休校対応としては、仕事を休まざるを得なくなった保護者の所得を補う助成金を創設。従業員向けに有給休暇を設けた企業には1人当たり1日最大8330円、業務委託を結んでいるなど要件を満たすフリーランスや個人事業主には1日一律4100円を支給する。生活福祉資金貸し付けに特例を設け、個人事業主らを含め休校で影響を受けた世帯に最大20万円を融資する。給食費は保護者への返還を学校に要請し、その分を国が補填(ほてん)する。
午前中から運営する放課後児童クラブなどの追加経費も国費で全額補助。テレワークを新たな働き方として定着させるため、1社当たり100万円の補助や専門家による無料相談推進に取り組む。
乳幼児や高齢者、障害者の感染防止のため、保育園や介護・障害者施設による消毒液購入を補助。健康上の不安について遠隔で医師に相談できる窓口の設置を推進する。ウイルス検査能力を3月中に1日最大7000件に拡大。窓口負担が生じないよう公費で補助する。
10日の閣議で転売を禁じたマスクに加え、他の物資で買い占めなどが起きた場合も転売禁止を含め対処する。国税・社会保険料の納付が困難な場合は柔軟に対応する。
時事通信社