
世界保健機関(WHO)による新型コロナウイルスの「パンデミック(世界的流行)」宣言を受け、日本政府は12日、入国規制の一段の強化など対応策の検討に入った。国際会議をはじめ外交日程の見直しも進める。政府内では東京五輪・パラリンピックの開催を危ぶむ声も出始めている。
安倍晋三首相は首相官邸で記者団に対し、「これまで以上に国際社会と協力しながら対応を強めたい」と表明。「警戒を緩めることなく、必要な対策はちゅうちょなく決断し、実行していく」と強調した。
政府はこれまでに、過去2週間に中国、韓国、イラン、イタリアの特定地域かサンマリノに滞在歴のある外国人の入国を拒否。中韓両国からの入国者に2週間の待機を求めている。政府は欧州からの入国を30日間禁じた米国の動きも参考に、入国制限の対象拡大を検討する方針だ。
4月20日から京都市で予定していた国連犯罪防止刑事司法会議(コングレス)は延期する方向で調整。首相が検討してきた5月のロシア訪問、6月の米国での先進7カ国首脳会議(G7サミット)出席も可否を検討する。
一方、東京五輪・パラリンピックをめぐっては、中止・延期もあり得るとの見方もある。国内で感染拡大を抑え込めても、各国で収束しなければ、国際オリンピック委員会(IOC)から開催困難と判断される可能性があるためだ。
菅義偉官房長官は記者会見で「予定通り準備を進める」と強調。小池百合子東京都知事は首相と会談した後、「中止という選択はないのではないか」と記者団に語った。ただ、政府関係者は「計画通りの開催は難しい」と漏らした。