
衆院法務委員会は15日、岸田文雄首相が出席し、技能実習に代わる外国人材受け入れ制度「育成就労」の創設を柱とする入管難民法などの改正案の質疑を行った。永住者が税や社会保険料の納付を故意に怠った場合に永住許可を取り消し可能とする規定について、首相は「(対象は)一部の悪質な場合」に限られると説明。「大多数の永住者に影響を及ぼすものではない」として理解を求めた。公明党の大口善徳氏への答弁。
立憲民主党の道下大樹氏は「永住者の未納がどれだけあるか、調査を行っていない」と批判。法令の必要性や正当性を根拠付ける「立法事実」があるとは言えないとして規定の削除を求めた。
首相は「取り消しは(外国人の)定着性に配慮して慎重に検討する」と強調した。
永住者は滞在期間や就労活動に制限がない在留資格。2023年12月末現在で約89万人に上る。(1)日本に10年以上在留(2)懲役刑などを受けていない(3)納税など公的義務を履行―といった要件を満たす人が対象で、法相が許可する。現行法では、永住許可後の取り消しは原則としてできない。
育成就労制度は、国内の深刻な人手不足を踏まえた「人材確保」に力点を置く。受け入れた外国人を3年間で「特定技能1号」の水準に引き上げ、中長期的な在留を促す。永住許可の対象となり得る外国人の増加が見込まれるため、取り消し規定を加えることにした。
時事通信