
三菱電機が製造する高性能対空レーダーが、フィリピン政府向けに輸出される見通しとなった。2014年に政府が武器輸出基準として「防衛装備移転三原則」を定めてから国産装備の完成品を輸出するのは初めて。複数の日本政府関係者が26日、明らかにした。
輸出するのは固定式防空レーダー「FPS3」と移動式「TPSP14」のいずれも改良型で、ミサイルや航空機の探知・追尾に使われる。日本政府は南シナ海での中国の軍備増強に懸念を強めており、比軍の警戒監視能力の向上を間接的に後押しする狙いもある。
受注総額は100億円程度。5月までの契約完了を目指していたが、新型コロナウイルスの流行で交渉が停滞しており、正式受注には一定の時間がかかる見通しだ。
装備品市場では各国が官民を挙げ売り込みを図る中、日本勢は価格面の競争力の低さや、諸外国に比べ厳格な「三原則」の制約により苦戦が続いていた。
時事通信社