首相官邸前の進入防止用の柵に車が突入した事件で、逮捕された職業不詳、臼田敦伸容疑者(49)が以前、反原発などを訴える活動をしていたことが19日、関係者への取材で分かった。
警視庁は同日夜、臼田容疑者宅を家宅捜索。同容疑者は突入直前、自民党本部前で火炎瓶のようなものを複数本、投げており、同党の政策に不満を持っていた可能性もあるとみて調べている。
取材に応じた臼田容疑者の父親(79)や知人によると、同容疑者は2011年の東日本大震災を機に、福井県の関西電力大飯原発前で再稼働反対運動をするなど反原発活動に取り組むようになった。
知人は「何かあれば現場に行くタイプだった。デモに参加するのはもちろん、東京電力福島第1原発の作業員になって現場を見に行くなど行動力があった」と振り返る。
ただ、近年はこのような活動は控えていたという。臼田容疑者は埼玉県川口市で父親と2人暮らし。長距離トラックの運転手をしたり、ウェブデザイナーとしてホームページの作成を請け負ったりしていた。法律にも興味を持ち、行政書士の資格も取得していたという。
父親は事件を受け、「(反原発などの)考え方は理解できるが、デモなど合法的な手段を取るべきだった」と声を落とした。
一連の事件は19日午前6時前に発生。臼田容疑者は自民党本部前に軽自動車で乗り付け、火炎瓶のようなものを複数本、本部正面入り口付近に投げ込んだ。その後、首相官邸前の車両進入阻止用の柵に車で突っ込み、警察官などに発煙筒のようなものを投げたとして公務執行妨害容疑で現行犯逮捕された。調べに黙秘しているという。
時事通信