自民党は7日、大敗した衆院選を総括するため、所属する全議員を対象にした両院議員懇談会を党本部で開いた。出席した石破茂首相(党総裁)に対し、数人が2024年度補正予算案成立後など時期を見て退陣するよう要求したが、党と政権の危機的状況を踏まえ、結束を求める意見が大勢を占めた。事実上、当面の首相続投を容認した結果となった。
懇談会は森山裕幹事長や萩生田光一元政調会長ら約200人が参加し、50人程度が発言。2時間を予定していたが、3時間に及んだ。首相らの冒頭発言のみ報道陣に公開された。
首相は「国民の期待に十分応えられず、おわびしなければならない。誠に申し訳ない」と頭を下げた。その上で、厳しい国際情勢や経済対策、政治改革などに触れ「意見を承り、より謙虚、丁寧に運営していきたい」と改めて続投する意向を示した。森山氏も「強く責任を感じている」と陳謝した。
これに対し、青山繁晴参院議員は政府が年内を目指す補正予算案の成立後を念頭に「しかるべき時期に辞意を表明するべきだ」と主張。旧安倍派の西田昌司参院議員も「党の体制を刷新しないと参院選は戦えない」と訴えた。青山氏によると、間接的なものも含めれば7、8人が辞任を求めた。
一方、船田元衆院議員は「責任問題はあるが、とりあえず一致団結して難局を乗り切るべきだ」と指摘。複数の出席者は「退陣論はあったが、『責任を持って立て直すのが重要だ』という意見が多かった」と明らかにした。
ただ、大敗の一因となった派閥裏金事件に関係した非公認候補側への2000万円支給を問題視する声も相次いだ。柴山昌彦元文部科学相は「いかに世論とかけ離れたものか受け止めてもらいたい」と強調。小林鷹之元経済安全保障担当相は、裏金関係候補の比例代表との重複立候補見送りも含めて「一連の決定はルールに基づいていたか」とただしたが、執行部から納得できる回答はなかったという。
首相は、9月の総裁選で唱えた衆院解散前の予算委員会開催を見送った理由を問われ、「補正予算案、25年度予算案(の審議)が続くから、その前に解散せざるを得なかった」と釈明した。落選者からの意見聴取や敗因の分析と検証を求める声も多かった。
首相は最後に「皆さんの意見を真摯(しんし)に受け止め、党改革をどう進めるか前向きに取り組んでいく」と協力を呼び掛けた。
時事通信