
【モスクワ時事】ロシアのジニチェフ非常事態相は5日、実効支配する北方領土の国後島を訪れ、新たに設置した救難救助センターの開所式典に出席した。自国領と強調する石碑も公開し、領土問題で日本側に譲歩しない姿勢を示した。政権幹部が北方領土を訪れるのは、昨年8月のメドベージェフ首相(当時)の択捉島訪問以来。
石碑には19世紀の皇帝ニコライ1世が語ったとされる「ロシア国旗を一度掲げた場所ではそれを降ろしてはならない」という言葉を刻んだプレートが取り付けられた。
式典では1945年8月の日本のポツダム宣言受諾後に千島列島で日本軍と交戦し、戦死したソ連兵への黙とうもささげられた。ジニチェフ氏は「われわれは常に戦死者を追悼し、彼らの偉業を忘れない」と述べた。
センターは自然災害などに対応するために設置され、気象状況や地震を観測できる最新設備が導入された。択捉島にも近く同様のセンターを開設するという。
プーチン政権は7月に「領土割譲禁止」を盛り込んだ改正憲法を発効させ、北方領土問題で譲らない姿勢を強めている。国後島には領土割譲禁止の条文を刻んだ記念碑も建てられている。
JIJI Press