
新型コロナウイルスの影響で会場でのスポーツ観戦が制約される中、携帯電話大手などは自宅でも臨場感のある新たな観戦サービスに乗り出した。スマートフォンのアプリを活用して、会場に声援を送ったり、見知らぬファン同士で一緒に応援したりすることができ、「新しい日常」への対応に各社が知恵を絞っている。
「頑張れ!」「行け行けー」―。無観客のスタジアムに自宅にいるファンからの声援が響き渡る。楽器大手ヤマハが開発したリモート応援システムは、スマホで「拍手」や「声援」をタップする仕組み。4月から実証実験を始め、全国のプロ野球やサッカー・Jリーグの試合で利用されている。ファンからは「会場で応援しているようだ」と好評で、年内の事業化を目指す。
ソフトバンクは福岡ペイペイドームで開催するプロ野球・福岡ソフトバンクホークスの全公式戦の仮想現実(VR)映像を月額980円で配信。本塁後方などに設置した4台のカメラの視点を切り替えながら、グラウンド内にいるような映像を楽しめる。新型コロナの影響で契約数は昨年比で数倍に膨らみ、同社は「次世代通信規格『5G』が普及して画質が向上すればさらに需要が増える」(広報担当)と見込む。
KDDIはJリーグの名古屋グランパスと公式スマホアプリを共同開発。10人までのファンが画面上で一緒に応援できる。本拠地の愛知・豊田スタジアムでは大型ビジョンや最前列のモニターにファンの顔が映るため、「選手たちの士気が高まる」(同チーム担当者)と相乗効果に期待が高まっている。
JIJI Press