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日産ゴーンが姿を消し、アメリカ人ケリー氏はひとり日本で裁判を受ける

会計不正行為の罪に問われている元日産幹部、グレッグ・ケリー氏の東京のマンションで2020年2月6日に撮影された容疑者写真。(AFP)
会計不正行為の罪に問われている元日産幹部、グレッグ・ケリー氏の東京のマンションで2020年2月6日に撮影された容疑者写真。(AFP)
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04 Sep 2020 10:09:37 GMT9
04 Sep 2020 10:09:37 GMT9

東京:上司のカルロス・ゴーンが国外逃亡により報酬不正行為の告訴から免れ、グレッグ・ケリーは今なお日本で裁判を待っている。

東京地方裁判所でのケリーの裁判は、逮捕から約2年後となる9月15日に開廷が予定されている。奇しくもケリーが64歳になる日だ。ゴーンの収入の過少申告容疑に関連する容疑で有罪判決を受けた場合、ケリーは最長10年の懲役刑を受ける可能性がある。

たとえ無罪となったとしても、保釈中に日本を離れてテネシー州に帰ることはできず、すでに高い代償を払っていることになる。氏はまだ生まれたばかりの 孫にも会えていない。夫人は東京で氏と一緒に過ごせるよう、学生ビザを取得している。

ゴーンと同様、ケリーも無罪を主張している。

東京の検察によると、日産自動車のケリーと元会長のゴーンは、2011年から2018年にかけてゴーンの給与を約90億円(8500万ドル)過少に申告し、金融法に違反したとしている。

アメリカのケリーの弁護士、ジェイミー・ウェアラムは、報酬に関する契約は最終確定していなかったという。ウェアラムは、今回の真相は、フランスのアライアンスパートナーであるルノーによる買収をケリーが企てることを恐れた他の日産メンバーがゴーンの追放を図った「企業クーデター」であったと考えている。

「すべてがイカサマだ」とウェアラムはAP通信に対し、電話で語った。

ゴーンは被告側のスター証人になれたかもしれない。しかしゴーンは昨年末、箱の中に隠れ、プライベートジェット機に乗ってレバノンへと逃亡した。

「ケリー氏は苛立っている。怒っている」ウェアラムははケリーについて語った。。「氏は最初から日本のシステムによる不正な対応の犠牲者となっている」

ケリーは法学の学位を持ち、1988年に日産の米国部門により採用された。ケリーは2012年に代表取締役に就任し、日産の取締役会初のアメリカ人役員となった。ケリーは同社で法律顧問と人事に従事した。2018年11月、日産の会議に出席するためアメリカから日本に到着した際に逮捕された。

ケリーは、ゴーンが起訴された背任疑惑では起訴されておらず、豪華な自宅等の個人目的のために日産のお金を使用した容疑が中心となっている。ゴーンの弁護士は、不動産は仕事のために必要だったものと主張し、そのような問題は社内で提起されるべきで、起訴は必要なかったはずだと反論している。

東京地検の次席検事山本ひろしは、ケリーの裁判の準備は証拠が膨大な量に上り長い時間がかかったと述べた。

「十分な証拠が揃い、有罪判決を勝ち取れると感じている」と山本は最近記者団に語った。

ケリーの弁護士ウェアラムは、検察は東京のウェアラム氏の法律事務所のコンピュータでしか見ることができない、10億ページ相当の文書(ほとんどが英語)を送付したと述べた。ウェアラム氏側はなお、証拠として印が付けられた資料が詰まった7インチサイズの箱70個以上を引き渡さなければならないが、裁判開始まであと2週間しか残されていない。

ケリーの扱いは公平ではなかったとウェアラムは言う。しかしウェアラムは、ケリーは「明らかに無実である」ため嫌疑が晴らされることを確信していると語った。

日産は会社として起訴され、日産とケリーは一緒に裁判にかけられる。日産は起訴内容を認め、報酬に関する報告書を修正した。24億円(2,260万ドル)の罰金を科せられたが、依然として関連容疑に直面している。

約1年に及ぶ可能性が高いこの裁判では、日産の元最高経営責任者である西川廣人氏その他の日産の従業員らが検察側を支持して証言する見通しだ。西川はゴーンの後任だったが、自身の会計不正容疑をめぐって昨年辞任した。氏は起訴されていない。

これとは別に、日本はゴーンの国外逃亡を幇助した容疑で指名手配されたマイケル・テイラーと息子のピーター・テイラーの2人の引き渡しを求めている。

両氏は保釈されず、マサチューセッツ州の刑務所に収容されている。

ゴーンは日本の裁判制度を「人質司法」として繰り返し非難してきた。

これは、有罪判決率が99%を超えていることで広く批判の的となっているものだ。容疑者は、弁護士の同伴のないまま警察や検察官により継続的に尋問され、裁判までに数カ月間にわたり拘束される。虚偽の自白につながり、推定無罪の原則を欠く慣行であるというのが批判される理由だ。

この壮大なゴーン物語の中心にあるものは、日本人幹部が強力なリーダーというよりも「サラリーマン」チームの一員として働く一方で、欧米人幹部よりもはるかに少ない給料をもらう傾向があることだろう。

2010年に日本で個別の役員の給与の公開が義務付けられ始めたとき、ゴーンの年間給与950万ドルという金額は物議を醸した。

ゴーンは、1999年にルノーから派遣されてから日産の崩壊危機からの回復を導き、氏が日産で達成したものに値する額だとして、普通より高い報酬について自己弁護した。

日本はレバノンと引き渡し条約を結んでおらず、ゴーンが裁判にかけられる可能性は低い。しかし、日産での氏の遺産はケリーの裁判に影を落とす可能性が高い。

「日本の人質司法システムに閉じ込められたままのグレッグ・ケリーとその家族のためにお祈り申し上げます」と、ゴーンは今年初めにTwitterで述べた。

AP

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