
政府は今夏の東京五輪・パラリンピックについて、海外からの観客受け入れを見送る方向で調整に入った。国際オリンピック委員会(IOC)などと協議の上、月内にも正式決定する。関係者が3日、明らかにした。
国内の新型コロナウイルス感染拡大が続く中、海外からの観客受け入れに慎重な国内世論を考慮。五輪を確実に開催するため、水際対策を徹底する必要性も重視した。
国内の観客受け入れについては、規模を含め引き続き検討する。政府関係者は「現時点で無観客は想定していない」と強調した。
政府は昨年12月、東京五輪の新型コロナ対策に関する中間整理を公表し、海外からの観客受け入れについて、今春にも決定する方針を示していた。これに関し、菅義偉首相は3日夜、記者団に「IOC、東京都、組織委員会と連携しながら、政府として手伝いたい」と述べた。
一方、東京都、大会組織委、政府、IOC、国際パラリンピック委員会(IPC)の代表によるトップ級5者会談が3日、テレビ電話会議で開かれ、海外からの観客受け入れについて、五輪聖火リレーがスタートする25日までに決めることで合意した。観客数の上限は4月中に判断する。
会議中、丸川珠代五輪担当相は「日本政府としては、この時点で海外からの観客について、入国の可否を見通すことは非常に難しい。慎重な判断が必要だ」と伝えた。
組織委の橋本聖子会長は終了後、海外からの観客受け入れについて、記者団に「国民に不安がある以上、安心と安全が保たれる実感がないと難しい」との認識を示した。ホテルや旅行会社などの関係者から、早期の判断を求める声が出ていることにも言及した。
JIJI Press