東京—- 東京地裁で開かれている日産自動車株式会社グレッグ・ケリー前代表取締役の裁判では、徐々に日産とその提携相手との間の不和に焦点が絞られるようになっている。
米国人であるケリー被告は、2018年11月に、カルロス・ゴーン前日産取締役会長とともに逮捕され、ゴーン被告の報酬を過少報告した罪で告訴された。ケリー被告は、1990年代終わり頃に日産の再生を支援するために派遣されたゴーン被告に対し、合法的に報酬を支払おうとしただけであるとして、無罪を主張している。
ケリー被告の主任弁護人である喜田村洋一弁護士は、金曜日に東京地方裁判所で、レイサム アンド ワトキンス外国法共同事業法律事務所のパートナーである小林広樹氏に対し、日産の代理で国際法律事務所が行なったゴーン被告の取り調べや日産とフランスのルノーSAとの関係について質問した。
小林氏は、弁護士・依頼者間の秘匿特権情報として、多くの質問に対して返答を拒否したが、法律事務所が両提携企業間の関係を調査した事実は認めた。
今月、これに先立つ証言で、日産自動車株式会社の前渉外・広報担当者である川口圴氏は、ゴーン被告が日産とルノーの関係を「解消できない」ようにするために2社を統合しようと計画していたことに不安を覚えたと話した。
川口氏は、日産とルノーの不平等な関係に対する懸念や両社の提携関係にフランス政府の影響が及ぶ可能性への懸念があったと述べた。日産の株式の44%をルノーが所有しており、ルノーの株式の15%をフランス政府が所有している。日産はルノーの株式の15%を所有しているが議決権はない。
川口氏には、ゴーン被告が持ち株会社を設立し、日産とルノーの独立性が有名無実となって、それぞれのアイデンティティが失われるという懸念があった。川口氏は当時、政府報道官だった菅首相にも助けを求めた。菅首相がほとんど対処しなかったのは明らかだった。
法廷で弁護人の質問を受けた川口氏は、「私の唯一の目標は日産を守ることでした」と語った。「私は日産を守りたいのです。私は日産を愛しています。ゴーン氏の意図は他にありました。」
内部告発者のハリ・ナダ氏と今津英敏前日産監査役が会社の取締役会に相談することなく告発に至った経緯を証言で説明することになった理由は、前日産執行役の川口氏の存在だ。その結果、ゴーン被告とケリー被告が逮捕されたのだ。
レイサム アンド ワトキンスによる内部調査の最終報告書が2019年に日産に提供され、後に、執行責任者の西川廣人が辞任した。結果として、ルノーと協力の下、日産は自社の企業統治構造を変え、外部監視の機会を増やすことができるようになった。
日産は裁判の具体的な内容についてコメントを出していない。
ゴーン被告は、自分を追い出すための「陰謀」に関わったとして日産の他の最高経営幹部らを非難してきた。ゴーン被告は、2019年の保釈中に、さらに、個人的報酬として日産の資金を使い込んだ疑いで背任罪でも告訴される見通しとなり、レバノンに逃亡した。日本とレバノンは犯罪者の引き渡し条約を結んでいない。
2010年に高額役員報酬の開示が求められることになって以降、ゴーン被告は数年間、自ら給料の半分である10億円(100万ドル)分を減給していた。ケリー被告の裁判の焦点は、その差額が決定されたものかどうか、また、報告すべきものだったかどうかである。
ゴーン被告は、ルノーとオマーンの販売代理店との取引についてフランスで徹底的に行われた調査との関連で、フランスの捜査官がレバノンを訪れ、自分に質問をしたことを今年の早い段階で話していた。アムステルダムにあるルノー・日産の持株会社による決済とベルサイユでゴーン被告が開催したパーティーにまつわるものだ。ゴーン被告は、日本の捜査官も同様の捜査を行なっていることを示唆した。
東京の検事はケリー被告とゴーン被告の両方を告訴していると繰り返し主張してきた。ゴーン被告はレバノン、フランス、ブラジルの重国籍者だ。検事らはレバノンに行ったかどうかを明らかにしていないが、様々な経路でゴーン被告を追跡していると話した。
ケリー被告の裁判は9月に開廷し、何ヶ月にもわたり判決が下る見込みがないが、日本の刑事裁判の99%は有罪となる。
企業体としての日産は同じ裁判で被告となっているが、罪を認めており、ケリー被告の弁護団による尋問にのみ異議を唱えている。
これとは別に、マイケル・テイラーとその息子のピーター・テイラーは、ボストンにある郡刑務所から引き渡され、犯罪者の脱出幇助の罪で月曜日に告訴される。裁判の日程は未定。
AP