
日産自動車前会長カルロス・ゴーン被告(67)の報酬隠しに関与したとして、金融商品取引法違反罪に問われた元側近の同社元代表取締役グレッグ・ケリー被告(64)の公判が12日、東京地裁(下津健司裁判長)であり、初の被告人質問が行われた。同被告は「ゴーン被告と共謀したことはなく、未払い報酬があるとは知らなかった」と述べ、無罪を主張した。
ケリー被告は弁護側の質問に対し、ゴーン被告の具体的な報酬額を知らなかったとした上で、検察側が受領を先送りして隠したと主張する同被告の「未払い報酬」について、「将来支払われるものがあるとは理解していなかった」と述べた。
未払い報酬を支払うためケリー被告が作成したとされる書面に関しても、「報酬の削減でゴーン被告が日産を離れるリスクが生じ、引き留める方法を考えた」と反論。「ビジネス上、適法に行うことは非常に重要だ」とも述べ、違法性を否定した。
当時の部下で、検察と日本版「司法取引」に合意した元秘書室長については「ゴーン被告と2人で何を話し合っていたか知らなかった」と強調。ケリー被告の指示で報酬隠しの方法を検討したとする元室長の証言も否定した。
起訴状によると、ケリー被告はゴーン被告と共謀し、2010~17年度のゴーン被告の報酬総額を実際より約91億円少なく見せ掛け、有価証券報告書に虚偽記載したとされる。法人としての日産も両罰規定に基づき起訴された。
JIJI Press