
広島
西日本の広島市の高校生7人が、平和への祈りを乗せた手作りの「折り鶴」2羽を銅板で作成し、土曜日から4日間の予定で訪日するフランシスコ教皇へ贈呈する。
「この贈り物が、被爆地である広島、そして日本の人々の平和に対する願いを教皇に伝える一助となればと考えています。」高校生の1人、広島市立広島工業高校3年の佐藤匠さん(18歳)はこう述べた。
広島は、米国が第二次世界大戦の終盤、1945年8月6日に投下した原子爆弾で廃墟と化した。日本の南西部に位置する長崎市も、その3日後に同じ運命を辿った。
長さ15センチメートル、高さ8センチメートルの鶴2羽の作成には、1954年に原子爆弾の被害者を悼むために建設された世界平和記念聖堂の屋根材の一部であった銅版が使われている。広島の同聖堂の耐震補強工事に際して、カトリック広島司教区が提供したものだ。
同校は2005年に、生徒が銅板で折り鶴を作成するプログラムを開始。年間に400羽から500羽の鶴が制作され、文化祭などのイベントで販売され、売上は核爆弾投下後も残った広島の建物の残骸、原爆ドームの保全を行う財団に寄付されてきた。
こうした鶴は、これまでに、チベットの精神的指導者ダライ・ラマ14世やノーベル平和賞を2017年に受賞した非政府組織、核兵器廃絶国際キャンペーンのベアトリス・フィン事務局長を始め、国内外の著名人に贈呈されてきた。
フランシスコ教皇へ送られる鶴に使用する銅板の厚さは0.3~0.35ミリメートルで、こうした鶴の作成に通常使われる銅板の3倍の厚さだ。
通常よりも厚い銅板での鶴の作成には苦慮したものの、ツールを駆使して2羽の鶴を完成させた。鶴の完成までには2日から4日を要した。
広島の高校生として、「平和への祈りを込めて鶴を作りました。世界から戦争と核兵器が消える日のために願いを込めています」と、生徒らが鶴に添える教皇に宛てのメッセージカードには記されている。
「時間をかけて作った鶴を教皇への贈り物とできることを嬉しく思います」と佐藤さんは述べた。「この鶴が、バチカンへ戻られた後も、広島のことを思い出すための縁となればと思います。」
82歳のフランシスコ教皇は、日曜日に長崎と広島を訪問し、平和と核兵器廃絶へのメッセージを世界に向けて発信する予定だ。ローマ教皇の訪日は、1981年2月の当時のヨハネ・パウロ二世の初訪日以来、今回が2度目となる。
[時事通信社]