
菅義偉首相が広島市の平和記念式典で行ったあいさつの際、事前に用意した原稿の一部を読み飛ばし、野党からは6日、「非礼だ」などと批判する声が上がった。昨年9月に就任した首相にとって初めての原爆忌だったが、その後、謝罪する失態となった。
首相が読み忘れたのは「わが国は、核兵器の非人道性をどの国よりもよく理解する唯一の戦争被爆国であり、『核兵器のない世界』の実現に向けた努力を着実に積み重ねていく」などのくだり。この後の記者会見の冒頭で、首相は「あいさつの一部を読み飛ばしてしまい、この場を借りておわびする」と陳謝した。
首相周辺は「(原稿の)紙がのりでくっついていた」と釈明するが、首相は読み飛ばしの結果、前後のつながりが不自然だったにもかかわらず、そのままあいさつを続けていた。
共産党の志位和夫委員長はツイッターで「まさか読み飛ばしとは。原爆死没者、被爆者に対して礼を失している」と非難。立憲民主党幹部も「論評以前の問題。首相は心ここにあらずなのだろう」と語った。政府関係者は「準備不足だ。政治のメッセージを軽視している」と肩を落とした。
一方、自民党のベテラン議員は「言い間違いは誰にでもある。魔が差したのだろう」と首相を擁護。首相は昨年の臨時国会などでも用意された原稿の読み間違いが相次ぎ、周囲が休養を勧めたことがあった。同党幹部は「相当疲れている。ずっと休んでいないので、1日ゆっくりしたほうがいい」と語った。
時事通信