
東京:日本政府は、日本の工業化の鍵となった往年の金山をユネスコ(国連教育科学文化機関)世界文化遺産に推薦したが、推薦書の不備により登録に遅延が生じていると、28日、政府高官が明らかにした。
佐渡島の金山の世界文化遺産登録をめざす日本政府の努力に対しては、韓国が反発し、日本による朝鮮半島の植民地化や第2次大戦中の日本の行動などの問題をめぐる両国の外交摩擦が更に広がった。
日本の北部に位置するこの金山は1989年の閉山まで400年近く操業を続け、かつては世界一の金の産出量を誇ったこともあった。
韓国は、朝鮮半島出身者の戦時中の強制労働を理由に、日本の推薦が不適切であるとして反発した。韓国政府は、1910年から1945年までの日本の統治時代に朝鮮半島出身者がこの金山で強制労働を強いられたと主張した。
歴史学者は、日本の労働年齢のほとんどの男子がアジア太平洋地域の戦場に送り込まれていた間、日本政府が労働不足を解消するため、朝鮮半島から強制連行した人員を含む数十万人の朝鮮半島出身労働者を鉱山や工場で働かせたと言う。
新潟県と町のサイトには、工業化前後の鉱山技術開発で佐渡島の金山を称賛する記述はあるが、戦時中の朝鮮半島出身の労働者使用には触れていない。
日本政府は今年初め、佐渡島の金山をユネスコ世界文化遺産に推す推薦書をユネスコに提出し、来年の登録を期待していた。しかし、末松信介文部科学相は28日、来年の登録が「難しい状況」と記者団に述べた。
末松文科相は、ユネスコが推薦書の一部に十分ではない点があると判断しているとし、それ以上は語らなかった。「非常に残念であるが、再提出をする」とのこと。今後、9月末までに推薦書の暫定版を提出し、正式な推薦書は来年の2月1日までに提出するという。
2015年には、同じように微妙な問題を持った場所がユネスコ世界文化遺産に登録されている。それは、明治日本の産業革命に寄与したとされる、長崎県にある往年の炭鉱の島、軍艦島である。韓国は、軍艦島には朝鮮半島出身労働者の重労働に関する記述がないとして抗議をし、それに対しユネスコは、日本に十分な歴史的説明を行うよう決議を採択した。
岸田文雄首相の政府は、佐渡島の金山の推薦を先延ばしにすることを検討していたが、与党超保守派からの圧力が高まり、方向転換を余儀なくされたようだ。超保守派は日本の戦時中の歴史を修正しようとする努力で知られている。
日本政府と韓国政府の関係は、第2次大戦前および大戦中の慰安婦問題や朝鮮半島出身労働者の強制労働問題で、ここ数年で最低の水準にある。