
岸田文雄首相は4日、三重県伊勢市の伊勢神宮を参拝後、年頭記者会見に臨み、「賃上げによる人への投資こそが日本の未来を切り開くエンジンになる」と賃上げに意欲を示した。
今年の春闘を念頭に「インフレ率を超える賃上げの実現をお願いしたい」と経済界に呼び掛けた。
首相は「賃上げと投資という二つの分配を強固に進め、格差の少ない力強い成長の基盤を作り上げる」と強調。自身の経済政策「新しい資本主義」を巡り、格差是正のメッセージが十分でないとの指摘があることを踏まえ、分配重視の姿勢をアピールした形だ。
首相は、6月までにまとめる労働市場円滑化のための指針で、リスキリング(学び直し)による能力向上支援、日本型職務給の確立、成長分野への円滑な労働力移動による「三位一体の労働市場改革」を進める意向も示した。男女間賃金格差の是正や、年齢とともに女性の正規雇用が減少する「L字カーブ」の是正にも取り組むとした。
首相は「異次元の少子化対策に挑戦する」との考えも表明。6月の経済財政運営の基本指針「骨太の方針」策定時に、子ども予算倍増の大枠を示すと改めて説明した。
新型コロナウイルス対策では、中国本土からの入国者検査を8日からPCR検査に切り替え、直行便の入国者に陰性証明を求める考えを表明。
5月に広島市で開く先進7カ国首脳会議(G7サミット)については「核兵器のない世界の実現に向けた力強いメッセージを発信する」と述べた。
時事通信