
ソウル:北朝鮮の金正恩朝鮮労働党総書記は、米韓による侵略の動きに対抗するため、「より実践的かつ攻勢的」な形で戦争抑止力を強化するよう呼びかけたと、国営メディアの朝鮮中央通信(KCNA)が11日に伝えた。
発言は11日に開かれた中央軍事委員会の拡大会議でなされた。会議では「侵略戦争を引き起こそうとする米国の帝国主義者と南朝鮮の傀儡売国奴のエスカレートした動きに対処する」ために、戦争抑止力を高める継続的な取り組みを議論したとKCNAは伝えている。
北朝鮮は、最近行われた米韓の一連の合同軍事演習に反発している。KCNAは演習について、「全面戦争」に備えるためのものであり、平壌としては軍事的な選択肢を含む「強力な実践的行動」を模索せざるを得ないとしている。
金総書記は、国の戦争抑止力を「より実践的かつ攻撃的な」方法で「速度を上げて」さらに強化するよう命じたとKCNAは報じている。
また、会議については「敵が対抗手段を持たない様々な軍事行動案を組織が準備するための実践的な事項や措置について議論した」と付け加えている。
米韓両軍は3月から毎年恒例の春季演習を実施しており、米空母や、B-1B、B-52爆撃機を交えた空・海域訓練や、5年ぶりの大規模な海からの上陸訓練などを行っている。
北朝鮮もまた、ここ数週間において様々な軍事活動を展開しており、小型化された新型核弾頭の公開や、核兵器の搭載が可能な水中攻撃ドローンと称するものの実験、米全土を射程に収めた大陸間弾道ミサイルの発射を行っている。
韓国の権寧世(クォン・ヨンセ)統一相(南北朝鮮にまたがる問題を扱う)は11日、平壌が先週から南北ホットラインに応答しないことに強い遺憾の意を表明し、「無責任」であると述べた。
南北ホットラインは両国の間で不測の事態を防ぐために運用されているが、これまで両国の間で緊張が高まった際には、北朝鮮が、韓国からのメッセージや毎日の確認電話の受信を拒否することがしばしばあった。
「北朝鮮の一方的で無責任な態度に強い遺憾の意を表明し、この姿勢によって北朝鮮が最終的には孤立し、より困難な状況に追い込まれることを強く警告する」と権統一相は記者会見で述べた。
権統一相はまた、北朝鮮が2016年に一方的に閉鎖した開城工業団地に残された韓国の資産を承認なしに使用したことを非難し、責任を問う措置を模索することを約束した。
韓国国防省は、米韓両国の国防高官が協議する恒例の韓米統合防衛対話(KIDD)を10・11日にワシントンで開催する予定を発表している。
議題には、北の核とミサイルの脅威に対する共同対応と、米国の核の傘の実行力を向上させる方法が挙げられている。
日本はこの後、14日に日米韓3か国による防衛実務者協議に参加する見通しだ。3か国は先週、北朝鮮が「悪意ある」サイバー活動を通して兵器の開発資金を調達していることについて懸念を表明している。
日本の松野博一官房長官は10日、記者団に対し、北朝鮮は核実験を含む更なる挑発を行う可能性があると述べた。
ロイター