
岸田文雄首相は9日、来月インドネシアで開かれる東南アジア諸国連合(ASEAN)関連首脳会議に合わせ、中国の李強首相と会談する方向で調整に入った。政府関係者が明らかにした。会談で岸田氏は、中国との対話を重視する姿勢を伝えた上で、東京電力福島第1原発からの処理水海洋放出について理解を求める考えだ。
首脳レベルの日中対話は、昨年11月の岸田氏と習近平国家主席の会談以来。中国は処理水を「汚染水」と表現して放出への批判を繰り返しており、岸田氏は科学的見地に基づき安全性を確保して進める日本の立場を説明する。日本産水産物の輸入規制強化についても見直しを求める。
両首相は会談で、「建設的かつ安定的な日中関係」の構築に向け意見交換。岸田氏は沖縄県・尖閣諸島や台湾海峡を巡る情勢を取り上げ、ロシアのウクライナ侵攻を巡っても責任ある行動を取るよう促す構えだ。
ASEAN関連首脳会議は9月4~7日にジャカルタで開かれる。岸田氏は昨年11月の同会議の際も、当時の李克強首相と立ち話した。
時事通信