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「日本で私は拷問を受け、米国は何もしなかった」カルロス・ゴーン氏の逃亡協力者が発言

元米軍グリーンベレーのマイケル・テイラー氏がアラブ・ニュース・ジャパンの特別インタビューに答えた。
元米軍グリーンベレーのマイケル・テイラー氏がアラブ・ニュース・ジャパンの特別インタビューに答えた。
元米軍グリーンベレーのマイケル・テイラー氏がアラブ・ニュース・ジャパンの特別インタビューに答えた。
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20 Aug 2023 08:08:13 GMT9
20 Aug 2023 08:08:13 GMT9
  • 日産元CEOの日本脱出を助けた元米グリーンベレー、2019年に日本での拘留中に非人道的扱いを受けたと主張
  • 米国市民の権利よりもビジネスの利益を優先するトランプ政権を非難

アリ・イタニ&ダイアナ・ファラー

ドバイ: 近年で最も大胆な脱出計画を立て、実行したことで有名になった米陸軍特殊部隊「グリーンベレー」の元隊員が、日本当局による拷問を告発し、米政府が何もしなかったことを非難した。

ドバイで収録されたアラブニュース·ジャパンの特別インタビューで、2019年12月10日に日産自動車の元会長カルロス·ゴーン氏を音響機材用の箱に隠し、日本から逃亡するのを手助けしたマイケル·テイラー氏は、東京拘置所で服役中に非人道的な扱いを受けたと語った。

2020年1月17日、イスタンブール警察がDHA通信に公開したビデオグラブ画像、イスタンブール空港の出国審査に臨むマイケル・テイラー(2R)とジョージ・アントワーヌ・ザエック(C)。(ファイル/AFP)

ゴーン氏の逃亡に関与した罪で裁判を受けるために米国から日本に移送され、東京拘置所の独房で服役中に、凍傷や熱中症を経験し、数ヶ月間入浴施設の利用を拒否されたという。

「17カ月の独房生活。6カ月半の間にシャワーは2回。暖房もない。毎日凍傷になり、夏はエアコンも換気扇もない。熱中症で倒れる人もいた」と語った。

「私の考えでは、また、国連によれば、これは明らかに人権侵害の拷問だ」と付け加え、自身の裁判は「不正に仕組まれたもの」であり「政治的決定」だと主張した。

拘置所の環境のほか、テイラー氏は 「弁護士·依頼者間の秘匿特権」がなかったことについても語った。弁護士と話すためには、「秘匿特権情報」と書かれた紙に検事とのやり取りを書かなければならなかった。

「しかし、『秘匿特権情報』とは見せかけだった。私はその書類を看守に渡さなければならず、看守はそれをコピーして好き放題に扱うことができた」とテイラー氏は話した。

「30分後、その書類はガラスの反対側に座っている私の弁護士のところに届く。警備員と通訳に監視され、通訳はすべてを書き留めている。つまり、弁護士·依頼人間の秘匿特権はないということだ」

アラブニュース·ジャパンは日本の法務省矯正局にテイラー氏の申し立てに対する回答を求めたが、関係者はコメントを控えた。

米政府は何か手助けをしたのかと尋ねると、テイラー氏は「ノー」と答えた。当時のドナルド·トランプ米大統領とマイク·ポンペオ国務長官は、自国民の権利よりも戦略的·ビジネス的利益を選んだと非難した。

「トランプとポンペオこそ、私たちの身柄を引き渡した張本人だ」とテイラー氏は述べた。「トランプは退役軍人を守るとしきりに声高に主張していた。米国でもどの国でも、大統領の第一の仕事は自国民を守ることだ」

マイケル·テイラー氏と息子のピーター·テイラー氏の場合はそうではなかった。二人とも2020年5月に米国で逮捕され、ゴーン氏の逃亡を手助けした罪で裁判を受けるために日本に移送された。

ルディ・マイケル・テイラー氏提供による、父親で元米軍特殊部隊員のマイケル・テイラー氏と弟のピーターさんが一緒にポーズをとっている未公開写真の組み合わせ。(ファイル/AFP)

「彼らは日本側を助けたのです」とテイラー氏は述べた。「ある種のビジネス協定が結ばれ、イージス艦やイージスレーダーを日本に売却する見返りだったという噂もある」

イージス戦闘システム(ACS)は米国の統合海軍兵器システムで、コンピューターとレーダーを使って兵器を追跡·誘導し、敵の目標を破壊する。日本の海上自衛隊は現在、イージス搭載艦を8隻運用しており、さらなる増強が予定されている。

テイラー氏は、日本が米国からイージス艦を購入したことで、引き渡しの要請が米政府に好意的に受け止められたと考えている。

「法学者いわく何ら法律違反ではないことで身柄が引き渡されたのは驚くべきことだ」と話した。

 

「一方、29人の死者を出したタカタ製エアバッグ事故に対して責任を負う3人の日本人は、2016年12月にミシガン州の連邦裁判所で起訴されたとき、身柄を引き渡されなかった。どうしてそんな理屈が通るのか」

テイラー氏が言及したのは、日本の自動車部品会社タカタの不祥事である。米国の自動車メーカー10社は、欠陥がある可能性のあるタカタ製エアバッグを搭載した数十万台の車をリコールした。

米国は2017年、この不祥事をめぐってタカタの元幹部3人を起訴したが、身柄引き渡しを命じることはなかった。タカタはその代わりに10億ドルの和解金を支払うことで合意した。少なくとも16人の死亡事故が欠陥エアバッグと正式に関連付けられていた。

米政府は進んでテイラー氏と息子の身柄を日本に引き渡したが、テイラー氏はカルマを信じており、それゆえ、2020年大統領選挙の結果を覆そうとする犯罪的陰謀に関与した疑いでジョージア州でトランプ氏が最近起訴されたことを喜んでいると語った。

アラブニュース·ジャパンの独占インタビューでテイラー氏が非難した人物の中には、ほぼ間違いなくテイラー氏のおかげで自由を得たゴーン氏自身もいる。

ゴーン氏は所得の過少申告やその他の企業犯罪の容疑で2018年に日本で逮捕されたが、本人は容疑を否認している。ゴーン氏は現在ベイルートにいるが、レバノン当局は自国民の身柄の引き渡しを拒否し、現地での裁判を選択している。

日本の山田賢司外務副大臣は木曜日、アラブニュース·ジャパンに対し、東京で裁判を受けさせるべく、ゴーン氏の身柄引き渡しをレバノン当局に要請したと語った。

 

日本の指導者たちは繰り返し、ゴーン容疑者は日本から不法に逃亡し、日本の裁判所で裁きを受けるために戻ってくるべきだと主張してきた。

一方、テイラー氏は、自身と息子は多額の弁護士費用を負担することになったと主張している。

2020年1月8日、ベイルートのレバノン記者協会で、ルノー・日産の前社長カルロス・ゴーンが、金融不正行為で告発されている日本での裁判を回避する理由について、大勢のジャーナリストを前に身振り手振りを交えて語った。(ファイル/AFP)

「私の弁護士費用はまだ未払いであり、非常に高額だ」と述べた。「海を隔てた米国と日本の両方で弁護士費用を負担することになれば、弁護士費用はかなりかさむことになる」

しかしテイラー氏は、日本からの脱出を助けたことでゴーン氏から約束された支払いについての報道を認めることを拒否した。複数のメディアの報道によると、日本の検察当局は、テイラー親子は自分たちのサービスに対して130万ドル、さらに弁護士費用として50万ドルを受け取ったと述べている。

日産との訴訟において、ゴーン氏は被害者だと思うか、それとも悪者だと思うかと尋ねられたテイラー氏は、事実がすべてを物語るはずだと述べた。

「私がこの件に関与したのは、法廷により、妻とも話せないほどの拷問を受けている男がいるということだったからだ」とテイラー氏は話した。

「離婚から状況を悪化させ、家庭を崩壊させよういうのでしょうか?私には理解できない。誰が、どの国が、どんな文明国家がそんなことをするのか」

2020年1月8日、イスタンブール警察が提供した写真は、日産自動車の前代表カルロス・ゴーンが、軟禁されていた日本からトルコを経由してレバノンに逃亡する際に潜伏していたとされるケース。(ファイル/AFP)

テイラー氏は、8月25日にApple TVで配信される予定の4部構成の新しいドキュメンタリーシリーズの公開を前に、アラブニュース·ジャパンの取材に応じた。テイラー親子の視点を取り上げたゴーン氏の事件に関する初の番組となる。

「Wanted:カルロス·ゴーンの逃亡」と題されたこのシリーズでは、ゴーン氏についてと、彼が企業の頂点に上り詰め、逮捕され、逃亡した経緯の「全貌」が語られる。また、ゴーン氏本人も自身の言い分を語る予定だ。

 

ウォール·ストリート·ジャーナル紙の記者であるニック·コストフ氏とショーン·マクレイン氏の著書「カリスマCEOから落ち武者になった男 カルロス·ゴーン事件の真相(原題:Boundless)」にインスパイアされたこのシリーズには、ゴーン氏の人生に関わった主要人物たちの独占インタビューや映像が含まれている。

釈放後、テイラー氏は運気を好転させるために忙しく働いている。彼は現在、「ビタミン1 」という新しい会社で働いている。「ビタミンと電解質たっぷりで砂糖不使用の健康的な水分補給飲料」を製造している会社だという。

テイラー氏は、アラブ首長国連邦(UAE)のナショナル·フード·カンパニーと提携し、ドバイでこの飲料の生産を開始する予定だという。「UAEの人々に提供できることを楽しみにしています」とテイラー氏は付け加えた。

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