
最大震度7の揺れを観測し、44人が犠牲となった北海道地震の発生から5年となるのを前に、土砂崩れなどで37人が亡くなった厚真町で2日、追悼式が行われた。宮坂尚市朗町長は「震災に埋もれた悲しい町で終わらせない覚悟を心に刻んできた」と述べ、復興への決意を新たにした。
式典は午前10時に始まり、遺族ら約260人が参列。全員で黙とうをささげ、犠牲者の冥福を祈った。
宮坂町長は式辞で「時を経ても、なお最愛の家族や友人を失った方々の無念さは決して尽きることがない」と犠牲者を追悼。インフラの復旧が今年度で区切りを迎えるとし、「本格的に復興に挑戦していく」と述べた。
鈴木直道知事は「被災された方々が住み慣れた町に安心して住み続けられるよう、地域に寄り添った取り組みを進める」と述べた。
遺族代表であいさつした畑島武夫さんは「大切な人やものを失ってようやく伝え、備えることの大切さを学んだ」と語り、「犠牲者への思いを含め、災害の記憶と教訓を継承していく」と誓った。
午後は町出身の歌手らによる「献歌」を開催。歌を通じて犠牲者を悼むとともに復興を願う。
地震は2018年9月6日午前3時7分に発生。住宅2300棟以上が全半壊し、災害関連死3人を含む44人が亡くなった。地震による火力発電所の停止などで、国内初の大規模停電(ブラックアウト)が発生した。