ブリュッセル:EUはイランに対し、国連の核監視機関IAEAの査察官の一部の認可を取り消すとした決定を再考するよう求めた。
国際原子力機関(IAEA)は先に、査察官排除という「不釣り合いで前代未聞の」措置により、査察業務に深刻な支障が生じると警告していた。
イランメディアおよび西側外交官によると、この決定の対象となる査察官は8名で、全員がフランスとドイツ出身である。
EUはJCPOAとして知られる、イラン政府と世界の強国の間で2015年に結ばれた核合意の取りまとめ役を果たしており、今回の動きについて「憂慮している」と表明した。
「特に懸念すべき点は、この決定が包括的共同行動計画(JCPOA)の遵守状況の監視を含む、IAEAの検証活動の遂行能力に直接深刻な影響を与えることだ」と報道官は述べた。
「EUはイランに対し、即刻この決定を再考するよう求める」
9月16日、イラン外務省は今回の決定はアメリカ、フランス、ドイツ、イギリスによる「政治的嫌がらせ行為」への報復だと述べた。
2015年、世界の主要強国はイランとの間に、イラン政府が同国に壊滅的影響を与えている経済制裁の緩和と引き換えに核計画を縮小することを定めた核合意を結んだ。
しかし、2018年に当時のドナルド・トランプ米大統領がJCPOAを離脱して制裁を復活させたことから、合意は瓦解し始めた。
これを受けてイラン政府は核計画を強化したが、一方で核兵器能力の開発という野心を抱いていることを否定し続けている。
これまでのところ、合意復活に向けた努力は実を結んでいない。
ヨーロッパで合意に署名したイギリス、フランス、ドイツは先週、当初予想されていた来月に対イラン制裁を解除しないと発表した。
EUによるこの動きとほぼ同じ頃、イランメディアは武装集団が準軍事組織を銃撃し、死者1名、負傷者3名が出たと報じている。
イラン南部で起きたこの事件の動機について地元メディアは明らかにしていないが、銃撃は全国規模の抗議デモの引き金となった、警察により拘留された22歳のマフサ・アミニ氏の死去から1周年の日に起きている。
銃撃事件とアミニ氏の命日の間に関連があるか否かは明らかになっていない。
ニュース局IRNAによると、銃撃は準軍事組織バスィージのメンバーを標的としたもので、首都テヘランの南方約630キロにある町ヌーラバードで16日遅くに起きた。
この事件とは別に、イラン西部のクルド地域にある都市サケズ近郊では、男性1名が治安部隊の銃撃により負傷した。IRNAによると、軍により立ち入りが制限されている区域に入ったことで銃撃されたという。
クルド系人権団体Hengawは先に、この男性が重体であると報告したが、準公共ニュース局Farsは、容体は安定していると報じた。
アミニ氏の命日には、テヘランとクルド地域にイラン治安部隊が多数配置された。人権団体によると、クルド地域ではゼネストが起きた。
クルド地域出身のアミニ氏は、イランの服装規定に違反したという理由からテヘランで拘留された後の2022年9月16日に亡くなった。
AFP/AP